モンテローザが全国で「白木屋」リニューアルを加速──再構築フェーズで攻勢に転じる外食大手
株式会社モンテローザ(本社:東京都杉並区、代表取締役:大神輝博)が展開する居酒屋ブランド「白木屋」が、全国各地でリニューアルオープンを進めている。10月16日には「南船場心斎橋筋店」(大阪)、「金沢片町店」(石川)、「鳥取駅前店」(鳥取)の3店舗が同日リニューアルを迎え、いずれも店内飲食限定で全品半額キャンペーンを実施するなど、全国規模での販促施策を連動させている。
モンテローザは「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」「山内農場」などを擁する外食大手で、長年にわたり低価格帯居酒屋市場を牽引してきた。コロナ禍以降は不採算店の閉鎖と資産圧縮を進め、店舗数を一時期大幅に減らしていたが、2024年度からは既存物件の改装・ブランド再構築に注力。老舗ブランド「白木屋」を中心に、再投資型の出店攻勢に転じている。
今回の3店舗は、いずれも地域の主要商業エリアに立地する拠点だ。南船場心斎橋筋店は心斎橋PARCOや周辺オフィス街との相乗効果が期待される都市型店舗、金沢片町店は北陸最大のナイトエリアに位置し観光客やビジネス客の需要を取り込む構え、鳥取駅前店は地元勤労層と観光層の双方を狙う地方中核駅前型店舗として再整備された。いずれも既存店舗の設備更新を伴うリニューアルで、初期投資を抑えながら収益性の向上を図るモンテローザの方針を体現している。
同社の2025年3月期決算では売上高564億円、営業利益45億円と黒字を維持。純資産は依然としてマイナスを抱えるが、経営再建の中で店舗収益力の改善が進んでいる。直営モデルを堅持することで、店舗運営から販促までを自社完結で展開できる体制が整っており、全国同時キャンペーンの実施もこの仕組みの強みだ。
「白木屋」は創業以来、手ごろな価格で安心感のある居酒屋として支持されてきた。近年は「お酒を飲む場所」から「時間を楽しむ空間」へとブランドコンセプトを刷新し、照明や内装を柔らかく整えた店舗づくりを推進。女性グループやファミリー層など、かつての居酒屋の主流であった団体宴会以外の利用層にも間口を広げている。今回のリニューアル店舗でも、テーブル個室や間接照明の導入など、快適性を重視した設計が特徴となっている。
モンテローザの出店攻勢は単なる拡大路線ではなく、再成長に向けた「構造改革型の攻勢」といえる。老舗ブランドの刷新を通じて、既存顧客の呼び戻しと新規層の獲得を両立させることが狙いだ。財務基盤の脆弱さという課題は残るものの、店舗改装を中心とした効率的な投資でキャッシュフローを確保しながら、全国的なブランド再生に踏み出している。
外食業界がコロナ禍を経て再編を余儀なくされるなか、モンテローザの動きは「守りから攻め」への転換点を示すものとなる。今後も地方中核都市を含めたリニューアルが続く見込みで、居酒屋市場再生の一翼を担う存在として、その次の一手が注目される。以下、株式会社モンテローザのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
開店日時:2025年10月16日(木) 17:00~
営業時間:日~木・祝 17:00~1:00
金・土 17:00~3:00
住 所:鳥取県鳥取市栄町701 太平ビル東館 地下1階
電話番号:0857-21-5988
席 数:91席
白木屋 金沢片町店 店舗情報
開店日時:2025年10月16日(木) 11:30~
営業時間:17:00~3:00
住 所:石川県金沢市片町1-6-13 アパ片町第3ビル 5階
電話番号:076-222-1388
席 数:147席
白木屋 南船場心斎橋筋店 店舗情報
開店日時:2025年10月16日(木) 11:30~
営業時間:月~木 11:30~23:30
金 11:30~24:00
土 16:00~24:00
日・祝 16:00~23:30
住 所:大阪府大阪市中央区南船場3-12-3 心斎橋セントビル 地下1階
電話番号:06-6251-7588
席 数:84席