L’Appartement、東海初出店 ──ミッドランドスクエアにみる「成熟消費」への最適解
株式会社ベイクルーズが展開するセレクトショップ「L’Appartement(アパルトモン)」が、10月23日、名古屋・ミッドランドスクエア商業棟2階に新店舗を開業する。東京や関西で確立した“洒落の効いた大人の女性”というブランドイメージを背景に、東海地方では初となる出店である。
コンセプトは「TIMELESS」をキーワードに、本物を知る大人が楽しむセレクトショップ。世界各地から厳選したインポートアイテムを中心に、自由で遊び心あるミックススタイルを提案する。店内中央には大理石をあしらったモダンなアールデコ調の“VIP BOX”を設け、その周囲をあえて工事途中のような倉庫・ガレージ風に仕上げた空間構成とした。ラグジュアリーと無骨さという相反する要素を併置し、ブランドが掲げる“二面性”を体感できる設計である。
名古屋店限定では、過去のアーカイブ生地を用いたLisièreのツイードジャケットや、ヴィンテージHermèsのバッグ(¥2,420,000)、MADE WORNのスウェットなど、希少性とストーリー性を兼ね備えたアイテムを展開する。素材の再利用やアンティークボタンの採用など、サステナブル視点も織り込みながら、タイムレスな価値を訴求する構成だ。
出店先のミッドランドスクエアは、名古屋駅前のラグジュアリーマーケットを象徴する存在である。1階にはカルティエやルイ・ヴィトン、ロエベなど世界的ブランドが並び、商業棟全体が上質志向の顧客をターゲットとしている。加えて、オフィス・映画館・高級飲食店を併設し、消費意欲の高い来館者を安定的に確保してきた。
その中でL’AppartementのMD(マーチャンダイジング)は、この環境に適合している。高価格帯の商品群は館全体のトーンと整合し、アーカイブ素材やヴィンテージ品といった希少性の打ち出しは、既存のラグジュアリーブランドと並んでも埋没しにくい。特に“二面性”を軸とした空間演出は、均質な高級感に個性を添える役割を果たすだろう。
一方で、同館ではファッション業態の比重がラグジュアリーレザーやジュエリーに比べて少なく、衣料中心のセレクト業態としてはやや挑戦的な立地ともいえる。ブランド認知が関東中心である点を踏まえると、初期段階では限定アイテムや空間体験を通じた来館動機づくりが鍵となる。とはいえ、購買力の高い来街者層を背景に、「本物志向×独自性」というブランドの骨格を浸透させる好機でもある。
ミッドランドスクエアが持つ成熟消費の受け皿としての機能に対し、L’Appartementは“新しい文脈のラグジュアリー”を提示する存在になるだろう。量ではなく質、流行ではなく時間を味方にするこの出店が、同館のブランド構成に新たな奥行きをもたらす。以下、株式会社ベイクルーズのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■店舗詳細
L’Appartement NAGOYA
OPEN:2025年10月23日(木)
住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1 ミッドランドスクエア2階
営業時間:11:00~19:00