イオンベトナム、初の中型ショッピングセンター「イオンタンアン」開業 メコンデルタ圏でマルチフォーマット戦略を本格化
イオンベトナムは10月4日、ベトナム・ロンアン省に「イオンタンアンショッピングセンター」を開業した。イオンベトナムが手掛ける初のショッピングセンター業態であり、イオングループとしては国内8施設目となる。ホーチミン市南西に位置する同地は、年9.6%の経済成長率を示すメコンデルタ地域の玄関口にあたり、今後の都市化と所得上昇を背景に中間層の拡大が見込まれるエリアである。
本施設は延床面積約2万6,700㎡、総賃貸面積約1万9,600㎡の中型モールとして開発された。従来の大型商業施設よりも小規模ながら、総合スーパー(GMS)を核に約30の専門店が入り、ファッション、飲食、家電、書籍、アミューズメントなど日常性の高い構成を持つ。イオンは中期経営計画で掲げる「アジアシフトのさらなる加速」の一環として、マルチフォーマットによるドミナント出店を戦略軸に据えており、地方中核都市を中心に迅速な出店と早期収益化を図る狙いだ。
施設コンセプトは「デイリーコミュニティパーク」。館内外に約1万1,000本の植栽を施し、屋外テラスや半屋外スペースを設けることで、公園のように自然と共生する空間を形成した。建築デザインは「Park-Inspired Lifestyle」を掲げ、メコン地域の自然素材である竹やレンガを外装に採用。大屋根構造で雨季・乾季双方に対応する設計とし、環境建築認証「LOTUS-NC-V3」を取得している。
また、館内にはデジタルサイネージやeロッカーなどのスマート機能を備え、無料Wi-Fiやベビールーム、キッズプレイゾーンなどの利便施設を充実。ショッピングと余暇を一体化した「日常の滞在型商業施設」として、地域コミュニティの交流拠点を目指す。
イオンは2014年のイオンタンフーセラドン(ホーチミン市)開業以来、ベトナム国内で大型モールを軸に展開を拡大してきたが、近年は中型SCによる地方展開へ舵を切っている。ロンアン省への出店は、ベトナム南部郊外への初の試みであり、今後の新興都市圏開発モデルとして注目される。ベトナムでは2030年に人口が1億1千万人を超える見込みで、イオンはベトナム事業を日本に次ぐ第2の成長の柱と位置付けている。中型モールを基盤に地域密着型の店舗網を構築することで、グループ全体のシナジー創出を進める構えだ。以下、イオン株式会社のプレスリリースから画像を引用。