韓国家庭料理「オボンジップ」日本2号店を葛西に開業 家庭料理型韓国ブランドの拡大に注目
韓国で300店舗を展開し急成長を遂げている韓国家庭料理専門店「オボンジップ」が、日本での第2号店を東京都江戸川区の葛西に出店する。運営は株式会社ハルモニアラボで、開業日は2025年10月31日を予定している。
オボンジップは2020年春、ソウル特別市で誕生したブランドである。コロナ禍の逆風下にもかかわらず、母の味を想起させる韓国家庭料理を現代的にアレンジし、SNS映えするビジュアルと確かなボリューム感を武器に成長。デリバリーやテイクアウトに対応した柔軟な営業スタイルも功を奏し、創業からわずか数年で300店舗を展開するまでに拡大した。名物料理の「直火ナックチ炒め(テナガダコ炒め)」や「ポッサム(茹で豚肉)」はSNSで拡散され、韓国国内では有名ドラマのロケ地としても利用されるなど、話題性に事欠かない。
日本への進出は2024年12月、JR神田駅北口に1号店を開業したことに始まる。口コミ評価は高く、特に在日韓国人や韓流ファンを中心に支持を集めている。ボリューム感と本場の味付けが「日常的に楽しめる韓国料理」として評価され、オフィス街立地ながら多様な客層を獲得した。
今回の葛西店は2号店としての展開である。江戸川区葛西エリアはファミリー層や外国籍住民が多く暮らす国際色豊かな地域であり、商業集積地としても成長している。葛西臨海公園や東京ディズニーリゾートへのアクセスの良さから観光需要の補完性もあり、地域密着と流動需要の双方を見込める立地であることが特徴だ。店舗は家族連れを意識し、お子様向けメニューを拡充するなど、地域に根ざした“心の拠り所”となることを目指す。ブランドが掲げる「五福(長寿・富貴・健康・徳行・平和)」の理念のもと、単なる食事提供にとどまらず、人が集まりつながる場としての価値創出を図る。
韓国料理は日本市場において、焼肉やキムチ、冷麺などが既に定番化している一方、家庭料理を前面に出すブランドは限られている。これまでのブームは、2000年代の韓流ドラマを契機とした第一次、2010年前後のK-POP人気と新大久保の盛り上がりを背景とした第二次、さらにチーズタッカルビやUFOチキンが爆発的に拡散した2016年以降の第三次と、SNSを中心に波が繰り返されてきた。近年はBTSやNetflixドラマを背景に再燃した第四次韓流ブームが続いており、クロッフルや韓国チキンなどが商業施設やフードデリバリーを通じて人気を博している。
こうした状況下で、オボンジップのような家庭料理型の韓国ブランドは、従来の焼肉・チキン・スイーツ業態とは一線を画す存在として注目される。韓国文化の浸透とSNSによる波及力に支えられ、日本の外食市場における韓国料理は「ブームを超えた定番」となりつつある。その中で“家庭の味”を武器にチェーン展開を進めるオボンジップは、新たな需要層の掘り起こしと地域密着型の展開を両立できる可能性を秘めている。
葛西店の開業は、韓国家庭料理という新たなカテゴリーを日本の商業施設市場に広げる一歩となるだろう。既存の韓国料理の枠組みを超え、地域に根差した「心の拠り所」を提供する試みがどのように受け入れられるか、今後の動向が注目される。以下、株式会社ハルモニアラボのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
店舗名 :オボンジップ葛西店
オープン日:2025年10月31日(金)
所在地 :〒134-0083 東京都江戸川区中葛西3-35-14
運営会社 :株式会社ハルモニアラボ