長野から全国へ──グルテンフリー専門「GLUTENFREE JAPAN」、イオンモール須坂に初の常設店
グルテンフリー食品を新たな食文化として根付かせようとする動きが、長野から本格的に広がり始めた。AKEBONO株式会社(長野市)が立ち上げた新ブランド「GLUTENFREE JAPAN」は、記念すべき初の常設店を10月3日、イオンモール須坂に開設する。長野県内最大の商業施設での展開は、地元の生活者に直結する場での発信拠点として大きな意味を持つ。
同社は信州大学発スタートアップとして2019年に設立され、グルテンフリー専業ブランド「縁-enishi- sorghum&glutenfree」を展開してきた実績を持つ。今回の「GLUTENFREE JAPAN」では、より幅広い層を対象に“誰もが安心して楽しめる食卓”を提案する。最大の特徴は、世界五大穀物の一つに数えられるソルガムを主原料にしたパンや焼き菓子の提供だ。食物繊維やポリフェノールを豊富に含み、グルテンを含まないため、アレルギーを持つ人や健康志向の生活者に新たな選択肢を示す。
出店先となるイオンモール須坂は、北信エリアの広域商圏をカバーする県内最大規模のリージョナルモールであり、ファッションや飲食、エンタメを取り揃えた複合施設だ。ここに常設店を構えることで、従来は通販やイベント販売でしか接点を持てなかった顧客層に直接商品を届けることが可能になる。地元産ソルガムを活用する点は、地域資源の付加価値化という観点からも注目される。
グルテンフリー市場は首都圏や観光地を中心に広がりつつあるが、商業施設で専門常設店を打ち出すケースはまだ少ない。無印良品やナチュラルローソンなど大手小売が限定的に扱う中、地元原料を前面に掲げた業態は差別化要素が大きい。長野では米粉を使ったベーカリーが一定の支持を得ているが、ソルガムを主役に据えた取り組みは稀であり、同施設にとっても独自性を高めるテナントとなる。
さらに同社は、家庭で利用できるミックス粉やOEM供給などを通じ、施設内販売とECを連動させたビジネス展開を視野に入れる。これにより、施設での体験を起点にリピーター獲得や全国的なブランド浸透を狙う。長野県内では信州大学が新品種「信濃ひめ」を開発しており、地域学術機関との連携による商品力の強化も今後期待される。
商業施設において“健康志向”は確実に拡大しているテーマであり、アレルギー対応や食の多様性を尊重する店舗は、来館者満足度の向上に直結する。イオンモール須坂での新業態導入は、地域社会と施設の双方にとって持続可能な価値を生み出す試みといえる。以下、AKEBONO株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗情報】
店舗名: 「GLUTENFREE JAPAN」 イオンモール須坂店
オープン日: 2025年10月3日(金)
所在地: イオンモール須坂内1F SUZAKA 蔵
営業時間: 10時~21時
取り扱い商品: 信州産ソルガムを贅沢に使用したグルテンフリーパンやドーナツ、スコーン・焼き菓子のほか、ご家庭で手軽に楽しめるミックス粉、全国の提携先ブランドによるグルテンフリースイーツ、さらにパスタやスパイシーなカレーなどの主食や調味料まで、多様なラインナップを取り揃えています。