大阪・泉南に「産直市場よってって泉南信達店」開業 商業施設併設で日常の買い物に産直体験を組み込む
大阪府泉南市に「産直市場よってって泉南信達店」が10月9日に開業する。運営する株式会社プラスにとって大阪府内10店舗目となるこの出店は、和歌山・奈良・兵庫を含めた全33店舗のネットワークを広げる動きの一環である。これまで道の駅や郊外型直売所を中心に展開してきた同社が、商業施設内での立地を積極化させていることは注目に値する。
泉南市は「泉州野菜」に代表される農産物の産地であり、みかんや玉ねぎ、水なすといった地場産品が知られる地域だ。加えて関西国際空港に近接し、観光やインバウンドの通過点としての性格も持つ。こうした土地での直売所開業は、地域の生産物を消費者に直接届ける拠点としての役割を強めることになる。
「よってって泉南信達店」は、地元産の農産物に加えて和歌山・奈良・兵庫の名産品をそろえるほか、鮮魚コーナー「橋本屋」や精肉コーナー「松牛」を併設し、日常的な買い物に必要な食材をワンストップでそろえる売場を構築している。また、同じ敷地内にディスカウントドラッグコスモスが併設され、生活必需品と生鮮食品の購買が同時にできる利便性が加わる。この「複合性」が、直売所を週末の目的型来店から日常生活の中の買い物体験へと拡張させる。
近年、農産物直売所市場は拡大傾向にあり、全国には2万店を超える直売拠点が存在する。その一方で、多くの直売所は立地や商品供給の制約から「日常の買い物動線」に入り込みにくい状況にあった。商業施設内や周辺への出店は、地元の農水産物を“今日の食卓に載るもの”として選ばれる機会を増やし、消費者にとって「今日は何があるか」という鮮度体験を日常的に楽しめる環境を作り出す。
さらに、よってってグループは2007年から全国に先駆けてレジ袋有料化を実施し、辞退率90%超を維持してきた。今回の新店でも同様の取組を続け、収益を自治体に寄付する仕組みを通じて、地域の環境対策や農業振興への還元を行う。これは単なる販売拠点としての存在を超え、地域資源を循環させる仕組みの一部となることを意味する。
大阪南部における新しい拠点となる泉南信達店は、地域住民にとっては毎日の生活の延長に産直ショッピングの楽しさを取り込み、商業施設にとっては「地元性」と「鮮度」を表現する強力なテナントとなる。直売所が道の駅型の非日常から、日常の買い物習慣へと転換する流れの中で、この出店はその一つの象徴となりそうだ。以下、株式会社プラスのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
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店舗概要
店舗名:産直市場よってって泉南信達店(さんちょくいちばよってって せんなんしんだちてん)
所在地:〒590-0504 大阪府泉南市信達市場2678番地
連絡先:TEL.0724-34-8399
売場面積:539.10㎡
開店日時:2025年10月9日(木)9:00〜
営業時間:9:00〜19:00
定休日:年中無休(1月1日〜3日は休業)
店長名:村本 光隆(むらもと みつたか)