渋谷・横浜・郊外で広がる紅茶体験──商業施設が受け入れる「午後の紅茶」体験型キャンペーンの意義
キリンビバレッジが展開する「午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA STAND」が、9月下旬に渋谷ヒカリエ、クイーンズスクエア横浜、たまプラーザ テラスの3会場で開催される。新商品の発売に合わせたプロモーションであるが、その受け皿となる商業施設側にとっても、来館者に新たな体験価値を提供する好機となっている。
今回のキャンペーンは、紅茶に果汁を合わせた「FRUITS & ICE TEA」を無料で体験できるもの。渋谷ではポップアップ型のティースタンド、横浜やたまプラーザではデザイン自販機による配布という異なる仕立てで展開される。来館者は簡単な質問に答えることで商品を受け取る仕組みであり、参加型体験が組み込まれている点が特徴的だ。
商業施設にとって、こうした大手飲料ブランドとの協働は単なるサンプリングにとどまらない意味を持つ。まず、渋谷ヒカリエでは高感度な若年層が集まりやすく、ブランド発信地としての機能を補強できる。来館者は紅茶をきっかけに館内の他店舗へ回遊する可能性が高まり、施設全体の賑わいを創出する。
一方、クイーンズスクエア横浜はオフィスワーカーの集積地である。平日の開催設定により「働く人」へ向けたリフレッシュ体験を提供することができ、商業施設が日常利用者の生活に寄り添う場としての役割を強調できる。整理券制による入場管理は、混雑緩和や安全確保といった運営上の課題に対する適切な対応とも言える。
たまプラーザ テラスでは「暮らすまち」としての特性を活かした展開となる。郊外住宅地に根ざしたファミリー層や地域住民にとって、こうした体験型イベントは休日のちょっとした楽しみとなり、施設への愛着を強める契機となる。生活者との距離を近づけることで、施設の役割は単なる買い物の場から日常の拠点へと広がっていく。
近年、商業施設は買い物機能だけでなく、体験や交流を生み出す場としての進化が求められている。メーカーによるプロモーションが施設の文脈に合わせて展開されることで、施設は来館者に「その街らしい過ごし方」を提示できる。今回の3拠点同時展開は、街のキャラクターと来館者層に合わせてイベントを変化させ、施設価値とブランド体験を結びつける好例といえる。
今後もこうした体験型キャンペーンは、メーカーと商業施設が互いの強みを活かし合う形で拡大していくだろう。来館者にとっては新たな発見や楽しみを、施設にとっては集客と回遊促進を、メーカーにとっては商品認知の拡大を同時に実現する仕組みとして注目される。以下、キリンビバレッジ株式会社のプレスリリースから画像を引用。