和カフェTsumugi、長野県初進出──「イオンモール須坂」に見る和スイーツ市場の新潮流
飲食大手のプロントコーポレーションが展開する「和カフェTsumugi」が、10月3日に開業する長野県最大級の商業施設「イオンモール須坂」に出店する。今回の出店は長野県初であり、19店舗目の展開となる。和スイーツと日本茶を軸に据えた同ブランドの進出は、地域商業施設の競争環境に新たな風を吹き込む動きとして注目される。
和カフェTsumugiは、「和と洋の融合」をコンセプトに、天然水を使った削り氷やアフタヌーンティーをはじめとする多彩な和スイーツを提供する。特に、花こう岩地帯の天然水を原料とした氷を極薄に削り上げた「天然水の削り氷」はブランドを代表する商品で、夏季にはSNSなどを中心に話題を呼んできた。さらに創業160年の老舗茶屋・袋布向春園の茶葉を使用した日本茶や、日本茶をベースにしたハーブティーも提供し、他のカフェとの差別化を図っている。
同業態はこれまで関東圏を中心に、築地本願寺や鎌倉といった文化的・観光的価値の高いエリアに出店してきた実績がある。観光と親和性の高い立地戦略をとっており、今回の長野県進出も、善光寺をはじめとした広域観光需要や北信地域の観光ルートとの結びつきを意識したものとみられる。観光客だけでなく、地域住民が日常的に利用できるカフェとしての役割も担うことで、幅広い客層への浸透が期待される。
一方で、イオンモール須坂の開業は長野県内の商業環境に大きな影響を与えると見られている。同施設は約170の専門店が集結し、北信初出店ブランドも多数含む構成が特徴だ。IMAXレーザーを導入したシネマコンプレックスや大型アミューズメント施設、1,100席規模のフードコートなど「体験型」要素を重視しており、従来型の商業施設との差別化を図る。須坂長野東IC至近という広域アクセスの良さもあり、長野市を含む広域商圏からの集客を狙う。
和カフェ市場はnana’s green teaや辻利といったブランドが既に全国で展開を進めている。ショッピングモール内ではスターバックスやタリーズといった外資系カフェチェーンが強い存在感を放つなか、Tsumugiは「和の甘味」「日本茶文化」という独自の切り口で差別化を打ち出す。特にインバウンド需要が回復基調にある中で、日本的なカフェ体験の提供は観光客にも訴求力が高いと考えられる。
今後、和カフェTsumugiがイオンモール須坂という県内最大級の商業舞台でどのような存在感を築くのかは、長野県内の飲食・カフェ市場におけるひとつの試金石となるだろう。商業施設の「体験型」戦略と、和カフェ業態の地域展開の動向が交差する今回の出店は、同地域の商業環境を占う上で重要な事例となりそうだ。以下、株式会社プロトコーポレーションのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗情報 ※2025年10月3日(金)オープン
店舗名 和カフェ Tsumugi イオンモール須坂店 所在地 長野県須坂市大字福島386番地1 イオンモール須坂2F アクセス 上信越自動車道 須坂長野東IC 上り 入口 約2分・下り 入口約3分 坪数/席数 10:00~21:00(ラストオーダー20:30) 定休日 施設に準ずる テイクアウト 一部の商品が対応可