長野県初の「Cat Café MOFF」イオンモール須坂に出店──商業施設で拡大する動物ふれあい体験の潮流
近年の商業施設では、買い物や飲食に加えて「体験」を重視するテナントの導入が広がっている。その中でも注目を集めているのが、動物と直接ふれあうことができる店舗である。伊豆シャボテン動物公園グループが展開する「アニタッチ」は、イオンモールなどに小動物や爬虫類と触れ合える施設を展開し、川崎の都市型水族館「カワスイ」でも小動物とのふれあいエリアが設けられている。観光地型から都市型、さらには大型商業モールまで、動物ふれあいコンテンツは幅広い立地で導入され、施設の差別化と集客の要として存在感を強めている。
この流れの中で、猫カフェの歩みは特筆に値する。2000年代半ば、猫カフェは都市部の路面店として誕生し、若年層や観光客を中心に支持を広げていった。猫と過ごす時間を“消費する”という新しい価値観は、「癒やし」と「非日常性」を同時に体験できる点で都市生活者に受け入れられた。その後、利用層は多様化し、カップルやファミリー層、さらにインバウンド客まで広がっていった。こうした市場の成熟を背景に、猫カフェは商業施設内へと展開の場を広げ、より幅広い来館者が気軽に立ち寄れる存在へと変化してきた。
商業施設と猫カフェの親和性は高い。館内回遊を促す「体験型テナント」としての役割を担い、飲食や物販では得られない滞在体験を提供することができる。特に地方の大型モールにおいては、家族連れを中心とした来館者に対し、動物とふれあう場が強力な集客要素となる。また、情操教育や命の尊さを学べるという教育的側面を打ち出すことで、単なる娯楽ではなく“学びの場”としても位置づけることが可能となり、施設のブランド価値向上にも寄与している。
この分野で積極的な展開を進めているのが株式会社MOFFである。同社は「動物と人間が笑顔で幸せに暮らせる社会の実現」を掲げ、屋内動物園、アニマルカフェ、猫カフェ、水族館を全国で運営している。特徴的なのは、動物とのふれあいに学びの要素を組み込んでいる点であり、来館者に癒やしとともに動物の生態や習性を伝える仕組みを整えている。またフランチャイズ方式を導入し、地方商業施設への進出を強化している点も注目に値する。イベント性やラテアートなどのカフェ機能を組み合わせることで、若年層からファミリー層まで幅広い層に支持を広げている。
こうした文脈のなか、10月3日にオープンする「Cat Café MOFF イオンモール須坂店」は長野県初進出となる。今回の店舗は約25頭の幼い猫たちが中心で、成長を見守る過程そのものが来館者の楽しみとなる構成だ。加えて、スタッフが猫の習性や生態を紹介する取り組みも行われ、教育的な価値が付与されている。ラテアートをはじめとした多彩なカフェメニューも用意されており、体験に彩りを添える要素となっている。
出店先となるイオンモール須坂は、県内最大級の商業施設として今秋開業する大型プロジェクトである。地元の伝統を取り入れたグルメゾーンやファミリー向けのキッズエリアを備えた同モールにおいて、動物と過ごす体験型テナントは館全体の滞在時間を引き上げる存在となるだろう。MOFFによる今回の新規出店は、商業施設における「動物ふれあい体験」の広がりを象徴する事例といえる。以下、株式会社MOFFのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
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【店舗概要】
店舗名 :Cat Café MOFF イオンモール須坂店
所在地 :〒382-8501
長野県須坂市大字福島386-1 イオンモール須坂3F定休日 :「イオンモール須坂」の定休日に準ずる
営業時間 :10:00~20:00(最終入園:19:30)
入園料 : 700円/30分 (延長250円/10分)
※ご利用は30分からとなります
※3歳以下は入園無料です
※ワンドリンク制です
※すべて税込みです