三井アウトレットパーク岡崎、11月開業へ──広域商圏で「体験価値」を武器に差別化
愛知県岡崎市に、県内初となる本格的なアウトレットモール「三井アウトレットパーク岡崎」が2025年11月4日に開業する。全180店舗のうちアウトレットゾーンは157店舗、さらに飲食や物販を集積した「OKAZAKI MARKET」が23店舗で構成される。日本初出店32店舗、中京圏初35店舗を含み、食関連だけで45店舗と“アウトレット日本一”を謳うラインナップを整えた。
施設の最大の特徴は、約4,200㎡の公園型広場「OKAZAKI MARKET」にある。ステージ、遊具、噴水や水景、ドッグランを備え、夕方以降には光・音・水のショー「MAGIC HOUR」を上演する。単なる買い物だけでなく、「食べる・遊ぶ・憩う」体験を通じて日常的な来訪を促す設計だ。岡崎市との包括連携協定も締結し、地域振興や観光交流の拠点としても位置付けられている。
立地は新東名「岡崎東IC」から約3km、東名「音羽蒲郡IC」から約5kmと車アクセスに恵まれ、3,200台の駐車場を備える。さらに名鉄「本宿」駅からのシャトルバス運行で公共交通利用も促す。周辺には岡崎市(38.5万人)、豊田市(42万人)、安城市(19万人)、豊川市(18万人)、豊橋市(37万人)といった三河エリアの人口集積があり、広域からの集客ポテンシャルは大きい。
もっとも、広域商圏を前提とするアウトレットは必然的に競合を抱える。西側には国内最大級の店舗数を誇る「三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島」があり、リゾート一体型として名古屋圏の需要を吸収してきた。東側には「御殿場プレミアム・アウトレット」が構え、富士山眺望や観光ルートと結びついた強力な集客力を持つ。岡崎はこの両者と商圏が重なり合う中で、単なる価格訴求やブランド集積での競争は避けにくい。
そこで三井不動産が選んだのが「体験価値」という打ち出しである。長島がリゾート複合型、御殿場が観光目的地型とすれば、岡崎は「日常生活圏に隣接する体験型アウトレット」として差別化を図る。地元食材を扱うマルシェやペットフレンドリーな環境、コミュニティスペースの設置など、地域共生型モールとしての役割を前面に押し出している。
愛知県は人口746万人と全国でも有数の規模を持つ市場だが、少子高齢化による長期的な人口減少は避けられない。そのなかで岡崎は、広域からの来訪を支える高速道路アクセスと、地元日常需要を支える“食と体験”を組み合わせた二層構造を描いている。今後、三河中部を核に名古屋圏・東三河・静岡西部といった広域商圏をどのように獲得するかが、施設の持続性を左右するだろう。以下、三井不動産株式会社のプレスリリースから施設概要と画像を引用。
三井アウトレットパーク 岡崎」計画概要
所在地 愛知県岡崎市舞木町 岡崎本宿山中土地区画整理事業6街区1画地 交通 新東名高速道路「岡崎東」 IC 3㎞、東名高速道路「音羽蒲郡」 IC 5㎞ 名古屋鉄道本線「本宿」駅 徒歩約13分
敷地面積 約158,400㎡(約47,900坪) 延床面積 約64,600㎡(約19,500坪) 店 舗 棟: 約49,800㎡(約15,100坪)
立体駐車場棟: 約14,800㎡(約4,500坪)
店舗面積 約35,000㎡(約11,000坪) 構造規模 店舗棟:鉄骨造・地上2階建 立体駐車場棟:鉄骨造・地上5階建
店舗数 180店舗 駐車場台数 約3,200台 営業時間 物 販 10:00~20:00 フードコート 10:30~21:00
飲 食 11:00~21:00
※最終営業時間は店舗により異なります。
※一部、営業時間の異なる店舗がございます。
※営業時間が変更になる場合がありますので、最新情報はウェブサイトにてご確認ください。
スケジュール 2024年5月着工、2025年 9月末竣工(予定)、2025年11月4日開業(予定) 設計会社 基本設計:株式会社東急設計コンサルタント 実施設計:株式会社錢高組
基盤整備設計:株式会社東急設計コンサルタント
施工会社 店舗棟・外構工事:株式会社錢高組 立体駐車場工事:大和リース株式会社
環境デザイン等 株式会社スタジオタクシミズ(グランドデザイン・外装デザイン) 株式会社パーク・コーポレーションparkERs(OKAZAKI MARKET外構デザイン)
株式会社ベレッツァ・エスプレッソ(フードコート、OKAZAKI おいしい MARKETデザイン)
株式会社スペース(環境演出企画、地域共生企画)
運営・管理 三井不動産商業マネジメント株式会社