鳥栖プレミアム・アウトレット、九州初出店ブランドを含む大規模リニューアル進行中
海外ブランド7店舗が登場
鳥栖プレミアム・アウトレットは、九州エリアにおける代表的なショッピングリゾートとして約170店舗を展開し、開業から20年を迎えた現在も進化を続けている。2025年9月から10月にかけては、KENZO、Tory Burch、Marc Jacobsなど、九州アウトレット初出店を含む海外ブランド7店舗が新規または移転リニューアルで登場する。特にTory BurchやMarc Jacobsといったハイブランドの導入は、既存のスポーツ・カジュアル中心のテナント構成に新たな層を加え、施設全体のブランドポートフォリオを一段と高めるものといえる。加えて、期間限定ショップとしてKENZOやLavenhamなどが登場することで、回遊促進や来館頻度向上を狙った柔軟なテナント戦略が際立っている。
九州アウトレット市場の再編と競合
今回のリニューアルは、近年のアウトレット市場の競争環境を意識した動きでもある。北九州では「THE OUTLETS KITAKYUSHU」が2022年に開業し、体験型施設を併設した大型モールとして存在感を強めている。一方、福岡市内の「マリノアシティ福岡」は老朽化に伴い2024年に一時閉館し建て替え計画に入ったことで、九州北部でのアウトレット供給は大きな変化を迎えている。こうした状況下、鳥栖は九州自動車道鳥栖ジャンクションに近接する立地を活かし、福岡都市圏からのアクセス利便性を強みに広域商圏を確保している。マリノア閉館後の需要吸収先としての役割を果たすことで、再び九州全域の旗艦的存在としての地位を強化する構図が見えてくる。
広域商圏と滞在型施設への進化
商圏面では、鳥栖市自体の人口は約7万人と大きくはないが、福岡市・久留米市・佐賀市といった周辺都市を含む広域集客が前提となっている。施設は福岡市天神から直行バスで約45分と案内され、車社会の九州において高速道路を利用したアクセスが極めて容易である点が強みだ。さらに、観光資源として太宰府天満宮や吉野ヶ里遺跡、温泉地などが近隣に位置するため、買い物と観光を組み合わせたレジャー需要も取り込める。これに加え、施設内の芝生広場整備やフードコート改修など、近年は非日常感や快適性を重視した環境整備が進められており、ファッションブランドの拡充とあわせて“一日滞在型”の価値が強化されていることが確認できる。
インバウンド需要と地域連携の相乗効果
インバウンド需要の回復も今回のリニューアルを後押しする背景となっている。訪日外国人旅行者数は2024年に過去最高水準を記録し、九州エリアも福岡空港を中心に国際旅客の増加が顕著である。鳥栖は空港や博多駅からのアクセス圏に位置し、インバウンドに人気のブランドをそろえることで国際的な集客力を高められる点が大きい。特にKENZOやMarc Jacobsといった世界的ブランドの導入は、国内客のみならず海外客への訴求力を高め、九州観光ルートにおけるショッピング目的地としての価値を補強する。飲食店舗の新設や地域大学との協働による空間演出なども含め、鳥栖プレミアム・アウトレットは「九州随一の体験型ショッピング拠点」への進化を鮮明にしている。以下、三菱地所・サイモン株式会社のプレスリリースから画像を引用。