ペリエ千葉の老舗「isamiya」、62年の歴史を継承しリニューアル 専門店文化を現代的に再構築
戦後の化粧品流通は、資生堂をはじめとする大手メーカーが全国各地に築いた専門店ネットワークに支えられてきた。駅前や商店街に立地する化粧品専門店は、単に商品の販売拠点ではなく、美容相談やカウンセリングを通じて地域の顧客と長期的な関係を育んできた存在である。高度経済成長期からバブル期にかけては、肌診断やポイントメイクの実演といった体験型販売が普及し、地域に根付いた信頼のある店が各地で支持を集めた。こうした専門店文化の系譜に連なるのが、JR千葉駅直結の商業施設「ペリエ千葉」で長年営業を続ける老舗コスメショップ「isamiya(イサミヤ)」である。
有限会社いさみやは1953年に創業し、1963年にペリエ千葉の前身となる駅ビルが開業した当初から出店している。以来62年にわたり、地域の顧客に寄り添う姿勢と多数のメーカーとの信頼関係を軸に営業を続けてきた。世代を超えて支持を集める安心感と接客力は、リアル店舗だからこそ生み出せる価値といえる。今回のリニューアルは、こうした歴史を踏まえつつ、現代の消費行動に合わせた新しい展開として注目される。
リニューアル後の店舗は、ペリエ千葉「ストリート1」ゾーンに位置づけられ、テーマは“新たな出会い”。新規ブランド「ADDICTION」「雪肌精 BLUE」を導入し、美容感度の高い若年層や新しい顧客層への訴求を強化した。さらに「アルビオン」を本館から店舗内に移転集約し、人気ブランドを一体的に展開することで魅力を高めている。
店内の設計にも工夫が凝らされている。通路に面したエリアにはSNS連動型ディスプレイやデジタルサイネージを設置し、商品やブランドの最新情報を発信。トライアル環境を拡充し、複数ブランドを比較しながら商品を選べる仕組みを整えた。加えて、スキンケア体験や施術サービスを提供する「トリートメントルーム」を新設し、専門スタッフによる丁寧なカウンセリングを強化している。入口の拡張によって見通しの良い環境を生み出した点も、顧客が自然に立ち寄れる空間づくりにつながっている。
今回のリニューアルに込められた想いは「キレイへの扉 Chapter2」。創業以来培ってきた「信頼と安心」を基盤にしながら、デジタル演出や体験型サービスを融合し、再来店を促す店舗づくりを目指す姿勢が示された。競合がひしめく千葉駅周辺の商業環境において、老舗ならではの地域密着性と新しいブランド導入による刷新性を両立させる戦略は、ペリエ千葉全体のリニューアル施策と歩調を合わせるものとなっている。
化粧品市場は、インバウンド需要の回復や体験型消費の拡大を背景に再び活況を呈している。リアル店舗の価値が再評価される中、62年にわたって地域と共に歩んできたイサミヤの刷新は、専門店文化を受け継ぎつつ次の時代に対応する好例として、商業施設関係者にとっても注目すべき動きである。
以下、株式会社千葉ステーションビルのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
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店舗概要
■ショップ名:isamiya(イサミヤ) ペリエ千葉店
■業種:コスメティクス
■場所:ペリエ千葉 ストリート1
■営業時間:月~土10:00~21:00/日 祝10:00~20:30
■取扱ブランド数:約60ブランド