キャス キッドソン、日本再上陸後の多拠点展開加速 ルクア大阪・天神地下街・関東で市場プレゼンスを拡大へ
英国発のライフスタイルブランド「Cath Kidston(キャス キッドソン)」が日本市場での再上陸から約1年を迎え、再び多拠点展開を進めている。スタイリングライフ・ホールディングスのマスターライセンス取得により2024年秋冬シーズンから再スタートした同ブランドは、表参道に旗艦店を構えたのち、京都ポルタに関西初店舗をオープン。そして今秋以降はルクア大阪と天神地下街に新店舗を出店し、10〜11月には関東エリアにさらに2店舗を追加する計画だ。
今回の出店戦略で注目されるのは、大阪・梅田の「ルクア大阪」である。西日本最大級のターミナル駅直結の立地は、トレンド発信力が強く、20〜40代女性を中心とした来館者層との親和性が高い。すでに同館にはマリメッコやアフタヌーンティー・リビングといった競合ブランドも入居しており、花柄や雑貨・ギフト需要を巡る競争は激しい。しかし、キャス キッドソンは豊富なプリントバリエーションと「選ぶ楽しさ」という体験価値を武器に差別化を図る。売上拡大はもちろん、梅田という広域集客拠点での存在感確立が最大の狙いといえる。
一方で、天神地下街は九州最大の商業導線であり、地元住民の日常消費と観光需要を取り込むことが可能なロケーションである。近隣にはVIOROのマリメッコ店舗があるものの、地下街自体には直接競合が少なく、キャス キッドソンが英国ブランドの世界観を前面に出すには最適な立地だ。地下街ならではの「毎日通う場所」として、ギフトや日常雑貨の購買を習慣化できる余地が大きい。ブランドの独自性を鮮明に打ち出すことで、九州における確固たる拠点づくりにつながると見られる。
さらに、10〜11月には関東エリアで2店舗を出店予定である。詳細な立地は未発表だが、旗艦店の表参道が「ブランドの顔」としての役割を果たしているのに対し、追加される2店舗はより日常的な導線での利用を意識し、「特別なブランド」から「生活に根ざすブランド」へとイメージを拡張する布石と考えられる。複数拠点での展開により、購買の安定化と広域でのブランド定着を狙う戦略である。
今回の展開を俯瞰すると、キャス キッドソンは日本市場において「旗艦店=ブランドの象徴」と「主要都市ターミナル=日常導線での拠点」の二層構造でプレゼンスを築こうとしている。ルクア大阪でのトレンド市場攻略、天神地下街での地域拠点確立、関東での日常的な広域展開を組み合わせることで、英国的なクラシックと可愛らしさを日常に取り入れたい層に浸透させ、再上陸後の成長を加速させる流れが明確になった。以下、画像と店舗概要を株式会社スタイリングライフ・ホールディングスのプレスリリースから引用。