駅ナカから始まる“サステナブル”な購買体験──「ピックミーアップ明大前駅」にて「サスティナスポット」始動
駅ナカを中心に次世代自販機を展開する株式会社わこーが、2025年7月25日より「ピックミーアップ明大前駅」にて新プロジェクト「サスティナスポット」を始動させた。対象となるのは、賞味期限が近い商品や過剰在庫品、B品などのいわゆる「フードロス予備群」とされる食品や物販商品。これらを割安価格で販売することで、メーカー・卸売業者にとっては在庫処理の新たな選択肢となり、利用者には手軽な価格での商品購入体験が提供される。
今回の取り組みは、京王線と井の頭線が交差する明大前駅に設置されたわこーの無人販売サービス「ピックミーアップ」の自販機を活用したものだ。同駅は通勤・通学利用者が多く、明治大学の最寄駅としても高い学生需要が見込まれる立地であり、社会的関心の高い若年層への浸透も期待される。自販機を単なる販売設備としてだけでなく、エシカルな行動選択を促す「生活のインターフェース」として活用する構想が色濃く表れている。
わこーが展開する「ピックミーアップ」は、広告宣伝費のみで駅ナカや商業施設内へ商品を出品できるプロモーション付き代理販売サービスとして知られる。サイネージ広告と販売代行を組み合わせ、食品から日用品まで多様なジャンルの商品を展開。自販機の運用はすべてわこー側が担い、設置施設にとっても人手を介さずにMDのバリエーションや来訪者の利便性を高める手段として注目されてきた。
今回の「サスティナスポット」は、その枠組みに新たに“サステナブル”という文脈を重ねたものだ。従来、バックヤードやBtoB流通内で処理されてきた規格外商品や返品対象商品などが、駅ナカの消費接点を通じて可視化されることで、サステナブル消費への意識喚起と行動変容を促す。駅というパブリック空間で、来街者の購買体験と社会的価値を繋ぐ実証フィールドが創出されたかたちである。
また今後は、8月に「ピックミーアップKITTE大阪店」「竹ノ塚」「minanoba相模原」、9月に「武蔵小杉東急フードショースライス」「ペリエ西千葉」「JR飯田橋駅(旧みどりの窓口)」などへの展開も予定されている。都市部の商業施設や駅ナカにおける空間活用のあり方が問われる中、わこーの自販機プロジェクトは、流通の効率化と社会課題への応答性を両立する新たなモデルケースとして注目に値する。
商業施設にとっては、単にマーチャンダイジングの一環としてではなく、施設全体のESG対応や付加価値創出の文脈に組み込める余地がある。自販機という装置が、販売・広告・社会貢献の三層構造を持ったプラットフォームとして再定義されつつある今、こうした試みがどこまで広がりを見せるかが今後の焦点となるだろう。以下、株式会社わこーのプレスリリースから画像を引用。