トヨタが仕掛ける“出会いの場”──ミスターマックス湘南藤沢に新コンセプト拠点「PSラウンジ」リニューアル開設
トヨタモビリティ神奈川は、2025年7月25日、藤沢市の大型商業施設「ミスターマックス湘南藤沢ショッピングセンター」内に「PSラウンジ」をリニューアルオープンした。これまで「ラウンジカローラ」の名称で営業していたテナントを、施設内での移転とともに刷新し、地域の生活導線に自然に組み込まれるブランド接点へと再定義した形である。
今回導入された「PSラウンジ」は、“Planetary Shop”の略称を持つコンセプト拠点で、拠点周辺の商業施設などで展開されてきた移動型展示会を、常設のタッチポイントとして可視化したもの。単なる車両の展示や販売促進ではなく、生活者が日常のなかでモビリティに触れる機会を創出し、「まず知ってもらう」「気軽に立ち寄れる」ことを主眼にしている。あくまでも車を売るのではなく、生活における“クルマがある暮らし”の魅力を体感できる空間として位置づけられている。
背景には、自動車販売そのものの購買行動の変化がある。EC化やシェアリングサービスの普及により、これまでディーラー店頭で完結していた購買行動が、オンライン上の比較・検討段階に大きく移行した。この変化に対応するため、トヨタは従来の販売拠点とは異なる“プレ接点”を地域内に設け、ユーザーの意思決定プロセスのより早い段階で関係性を構築しようとしている。
商業施設側の視点でも、こうした非物販型テナントの導入は明確な意味を持つ。来館目的が明確でない利用者にとって、自由に立ち寄れる“ラウンジ”は時間消費型の場となり、施設全体の滞在時間や回遊性の向上に寄与する。また、従来の自動車ディーラーが提供していた接客型サービスとは異なり、ブランドイメージや価値観を共有する「共創型の体験空間」として、施設の魅力そのものを高める存在にもなり得る。
加えて、藤沢市・湘南エリアという立地特性も無視できない。自動車保有率の高い郊外型住宅地でありながら、若年ファミリー層やアウトドア志向の高い住民層が集まるこの地域では、単に自動車を「移動手段」として捉えるのではなく、ライフスタイルの一部として再提案する余地がある。「ミスターマックス湘南藤沢ショッピングセンター」は、1,000台超の駐車場を備え、周辺からの広域集客も見込める立地条件にあることから、こうしたモビリティとの接触機会の創出にも適している。
本件の注目点は、販売のための施設ではなく、関係性の起点としての店舗設計にある点だ。これは、従来の「ショールーム」に代わる“ブランドの入り口”であり、SCという生活密着の空間にこそフィットする業態といえる。今後、モビリティ領域に限らず、家電や住設などでもメーカー主体によるプレ接点型拠点の導入が広がれば、商業施設のテナントミックスはさらに広がりを見せるだろう。
商業施設のなかに、モビリティと生活をつなぐ“ひと呼吸の場”が設けられたことで、施設の役割そのものもまた少し変わりはじめている。以下、神奈川トヨタ自動車株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
営業開始日 2025年7月25日(金) 所在地 藤沢市辻堂新町4丁目3−5 (ミスターマックス湘南藤沢ショッピングセンター1階)
電話番号 0466-30-5255 営業時間 【平日】10:00~19:00 【土日祝】10:00~20:00(365日営業)