幸楽苑、創業地で再起動 道の駅国見あつかしの郷に7年ぶり新規出店
福島県郡山市に本社を構えるラーメンチェーン「幸楽苑」が、約7年ぶりとなる新規出店に踏み切る。出店先は、福島県伊達郡国見町に位置する「道の駅国見あつかしの郷」。2025年7月下旬の開業を予定しており、テナント型での展開となる。
今回の出店は、同社が2018年5月を最後に控えていた新規出店を再開する第一歩であり、業界関係者の注目を集めている。新店舗が立地する「道の駅国見あつかしの郷」は、地域交流・観光振興を目的とした複合型施設で、地元の特産品販売や食事処、休憩・観光案内などを兼ね備える、国見町のランドマーク的存在だ。年間を通じて観光客や近隣住民が訪れる同施設は、幸楽苑にとって新たな顧客接点を確保する上での実験的な出店とも言える。
幸楽苑は、コロナ禍による来店減や営業時間短縮の影響を大きく受け、2021年には25億円規模の最終赤字を計上。過去に全国500店舗を超えていた体制からは大幅に規模を縮小し、特に郊外の不採算店舗を中心に閉鎖を進めてきた。その一方で、経費構造の見直しやセントラルキッチンの強化、デジタルオーダーの導入などを通じて収益体質の改善を図り、2024年3月期には営業黒字へと転換している。
今回の国見町への出店は、そうした再建プロセスを経た同社が地元・福島への回帰を示す象徴的な動きとも捉えられる。ロードサイド中心であった従来の出店モデルとは異なり、公共性と観光性を備えた施設内へのテナント出店という形は、施設集客を活用しながら低リスクでのブランド再拡張を図る戦略的な一手だ。
国見町は人口約8,400人と小規模な自治体でありながら、道の駅には多くのドライバーや観光客が訪れる。この立地特性を活かし、日常需要と観光需要の両面から来店を促す構えだ。また、地元の歴史・文化と調和する施設コンセプトも、福島発祥のブランドとしての同社の存在感を引き立てる。
業界全体では依然として飲食業の再編が進むなか、幸楽苑が再び成長軌道に乗ることができるかどうか、その第一歩としての今回の出店は、今後の動向を占う試金石となるだろう。以下同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■道の駅国見あつかしの郷について
所在地:福島県伊達郡国見町大字藤田字日渡二18-1
サイト:http://www.michinoeki923.com/
電話 :024-585-2132