那珂川市にイズミのNSC型施設「ゆめモール那珂川」起工 2026年春の開業目指す
福岡に一昨年訪れた際、天神エリアの再開発によって駅周辺に大きな活気が生まれていたのが印象的だった。九州各地から人が集まり、観光客も滞在する。その人の流れに呼応するように、商業が自然と生まれてくる──それが目に見えてわかる場所だと感じた。一方で、福岡市周辺の地域はどうなっているのか。現地の人々から話を聞いてわかったのは、「ハレの日」の買い物は都心で、「ケの日」=日常の買回りや生活必需品の購入は、地元で完結させるという動きが定着しているということだった。今回取り上げるのは、そうした福岡近郊の生活圏で進む商業施設開発の一つ、那珂川市で新たに始動する「ゆめモール那珂川」に関するものである。
株式会社イズミは、福岡県那珂川市で新たに開発する近隣型ショッピングセンター「ゆめモール那珂川」の建設に着手し、2025年5月23日に新築起工式を執り行う。オープンは2026年春を予定しており、地域密着型のNSC(Neighborhood Shopping Center)として、那珂川市および近隣の生活圏を支える新たな商業拠点となる見込みだ。
「ゆめモール那珂川」は、イズミが展開するNSC業態「ゆめモール」シリーズの福岡県内3施設目で、同社が運営する食品スーパー「ゆめマート」を核に、レストラン、家電、生活雑貨など複数の専門店で構成されるオープンモール型商業施設である。施設の設計・施工は株式会社太陽設計および株式会社イチケンが担う。
施設の立地は、福岡市南区に隣接し、ベッドタウンとして住宅開発が進む那珂川市道善・恵子地区の区画整理エリア内。交通アクセスの面でも市内バスロータリーが隣接し、日常的な買い物利用から休日の家族来店までを見据えた利便性の高い立地となっている。敷地面積は26,694㎡、延べ面積は8,400㎡、駐車台数は約410台を確保し、マイカー利用を前提としたオープンモール設計を採用。目的の店舗前に駐車できる利便性を活かし、短時間で効率よく買い物を済ませたい層に対応する。
那珂川市は、福岡都市圏への通勤圏内に位置し、特に若年ファミリー層の流入が続くことから、人口と世帯数が緩やかに増加している地域である。生活インフラや公共交通が整備されており、買回品や生活関連商品の消費が安定しているのが特徴である。イズミにとっては、こうした地域特性を踏まえたNSC型モール展開の好適地といえる。
今回の開発では、「那珂川のよりどころ」をキーワードに、「商業・交通・健康」の3軸を中心に施設のコンセプトを設計。「商業」では、食品スーパー「ゆめマート那珂川」が地域住民に“毎日通う楽しみ”を提供し、自社製造ブランド「zehi」やインストアベーカリーなどを展開する。「交通」では、バスロータリーとの連携による来店利便性の向上を図り、「健康」では2029年度整備予定の(仮称)那珂川総合運動公園との地域連携を視野に入れたヘルスコンシャスなまちづくりを支援する。
イズミが進める「ゆめモール」戦略は、既存の大型モール「ゆめタウン」に対し、日常使いのニーズに応える機動力をもったNSCとして地方都市に展開されており、これまでにゆめモール柳川や筑後などを開業。今後も地域特性に応じた形での出店が予想される。
那珂川エリアには、既存の地域スーパーやドラッグストアが点在するが、複合型のNSCは限られており、「ゆめモール那珂川」の開業は競合との差別化に加え、近隣住民の生活利便性を大きく引き上げるものとなる。イズミによる地域密着型の商業インフラ整備が、那珂川市の都市生活の質をどこまで高めていくか、注目が集まる。施設概要と画像を株式会社イズミのプレスリリースから引用。
1.施設名称 ゆめモール那珂川
2.所 在 地 福岡県那珂川市道善・恵子土地区画整理事業 2街区、5街区内
3.開業予定 2026年春
4.敷地面積 26,694㎡
5.延べ面積 8,400㎡
6.駐車台数 約 410台
7.建設会社 株式会社イチケン