韓国焼肉「4시-sisi-」、逗子で挑む新スタイル焼肉店 “非日常”を地域に根づかせる第一歩
都心から電車一本で気軽に行けるビーチはいくつもあるが、家族連れや友人同士で安心して楽しめる場所は案外少ない。その点、逗子海岸は穏やかな波と整った環境で、幅広い世代に親しまれている希少な存在だ。かくいう筆者も、毎年子どもを連れて電車で訪れているお気に入りのビーチである。
逗子の飲食店は、周辺湘南エリアとは一線を画す空気感を持つ。鵠沼や江の島、辻堂といったエリアがアメリカ西海岸の影響を色濃く映す中、逗子はどこか南仏のような上質なリゾート感が漂う。逗子マリーナの存在が、その印象に拍車をかけているのかもしれない。小規模ながら感度の高い個人店が点在し、静けさと文化性が共存する、湘南の中でも独特のポジションを築いているエリアだ。
そんな逗子市に2024年3月、韓国焼肉「4시-sisi-(シシ)」が新たにオープンした。運営は、逗子海岸で10年以上にわたり親しまれてきた海の家「WILD BOAR」を手がける株式会社RINK。地元を知り尽くすオーナーが、地域文化と向き合いながら展開する次なる挑戦が注目を集めている。
逗子は、ヨットハーバーやウィンドサーフィンといったマリンレジャーが盛んで、都市近郊にありながらリュクスで穏やかな時間が流れる街だ。一方で、地理的には海と山に囲まれた盆地型の構造により、住民コミュニティは密であり、新規ビジネスにとっては一筋縄ではいかない土地でもある。ハイエンドな文化とビーチカルチャーの抜け感が共存するこの地で、地域発の焼肉業態がどのように根づいていくのか、そのチャレンジ性は決して小さくない。
「4시-sisi-」は、韓国語で“始まり”を意味する「시작(シジャク)」にちなんで名づけられた。その名のとおり、同社4業態目となるこの店舗は、韓国と日本の焼肉文化を融合した新しい焼肉のあり方を模索する。ネオンが灯る韓国ソウルさながらの内装、七輪で焼き上げる牛タンや壺漬けハラミ、名物「カムジャタン」を中心とした料理構成など、韓国現地の空気感を五感で再現することに注力している。
地域の焼肉マーケットを見ると、逗子市内において韓国焼肉の専門業態は希少であり、チェーン展開とも一線を画す個性と没入感が武器となる。海を背景にした観光地である逗子は、年間を通じて飲食需要が期待できる反面、リタイア層を含む地元の支持が定着の鍵を握る。「4시-sisi-」では、立ち飲みスタイルや生マッコリ、チャミスルといった軽めの利用にも応え、観光客と地元双方の接点を探る設計がなされている。
今回の出店は、地域密着型での立ち上げに加え、将来的な都市圏展開への布石でもある。すでに2025年末には東京での2号店展開が予定されており、逗子店の成果はその足がかりとなる。SNSなどを活用した情報発信も積極的に行われており、飲食業界における新しい立地戦略の一例としても注目される存在だ。
飲食店としての品質に加え、地域社会との関係性構築が求められる逗子で、「4시-sisi-」が果たす役割は大きい。焼肉という業態を軸に、韓国文化の再解釈と地域交流を図る試みが、逗子に新しい風を吹き込んでいる。ブランドの“始まり”の地として、どのようにこの街に根を張っていくのか、今後の動向に注視したい。以下、株式会社RINKのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗情報店名: 韓国焼肉 4시-sisi-(シシ)
グランドオープン: 2024年3月10日【営業時間】17:00〜24:00
【住所】〒249-0006神奈川県逗子市逗子5-2-47
【電話番号】046-874-7077
【Instagram】https://www.instagram.com/yakiniku_sisi
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