都市型ニッチを突くグローバルスタイル、浦和パルコに新店出店——オーダースーツ市場の再定義と商業施設の関係性
オーダースーツ専門店「グローバルスタイル・コンフォート」が2025年4月25日、埼玉県さいたま市の浦和パルコに新店舗を開業する。JR浦和駅から徒歩1分という高い利便性と、文教地区として成熟した地域特性を持つ浦和において、オーダースーツという商材はどのように受け入れられるのか。背後にある市場動向と企業戦略をもとに、出店の背景を読み解く。
まず、紳士服市場はここ数年で大きな構造転換を迎えている。量販スーツに代表される既製品市場はコロナ禍による通勤減少や働き方の多様化により縮小傾向にある。一方で、オーダースーツ市場は全体に占める割合こそ1割強と小さいものの、体型や好みに合わせた商品ニーズの高まりや、一定のフォーマル性を維持したい層からの支持により、堅調に推移している。矢野経済研究所などによる推計では、オーダースーツを含むパターンオーダー市場は500〜600億円規模と見られ、客単価の高さやリピート需要に支えられた「狭く深い」市場であることが特徴だ。
グローバルスタイルは、こうした限定された市場において「都市型ニッチ」を的確に狙う戦略を取っている。創業97年の老舗生地問屋のネットワークと、提携工場との生産体制を強みに、価格を抑えつつ高品質なオーダー体験を提供する同社は、銀座、丸の内、表参道、新宿といったビジネス・文化が交錯する都市拠点に集中して出店している。一見すると多店舗展開の拡大路線に映るが、その実態は「特定地域に凝縮した需要層」を掘り下げる、選択と集中に基づくドミナント戦略である。
浦和というマーケットは、まさにその戦略に合致する。さいたま市浦和区は市内でも教育水準と世帯所得が高い地域であり、教員や公務員、士業、医療関係者など、日常的にフォーマルウェアを求める職業層が集中している。JR浦和駅の1日平均乗降者数は約10万人を超え、都心への通勤動線も強固だ。スーツの着用頻度は減少しているとはいえ、「必要な場面でしっかりした一着を用意したい」というニーズは根強く、グローバルスタイルが提供する“価格と品質の中間ゾーン”に強くフィットする。
さらに、商業施設としての浦和パルコは、こうした顧客とオーダースーツの“橋渡し役”としての機能を持ち得る。従来、オーダースーツは百貨店や路面型テーラーに依存していたが、グローバルスタイルは駅直結型モールや都市型ショッピングセンターに積極的に出店しており、「生活動線の中に体験を組み込む」店舗設計を重視している。個室フィッティングルームやカフェスペースといった環境演出も、単なる物販以上の付加価値を商業施設内で提供する要素として機能する。
今回の出店は、量的拡大ではなく“接点の質”を重視した配置であると言える。地域に埋もれた潜在需要を可視化し、それに合わせて店舗を置くというグローバルスタイルの出店哲学は、商業施設における新たなテナント構成のヒントにもなる。浦和の事例は、地方中核都市における「オーダー体験型専門店」の可能性を示唆するものであり、今後のパルコ全体のMD戦略にも一石を投じるものとなるだろう。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用
■店舗名
GINZAグローバルスタイル・コンフォート 浦和パルコ店■開店日時
2025年4月25日(金)10:00~OPEN■営業時間
平日・土日祝/10:00~21:00■住所
〒330-0055埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11-1 浦和パルコ 4F
■交通アクセス
・JR京浜東北線、JR高崎線、JR宇都宮線、JR湘南新宿ライン「浦和駅」東口より徒歩1分
■お取り扱い商品
<メンズ>
オーダースーツ / オーダージャケット / オーダーシャツ / フォーマルオーダースーツ(礼服、喪服) / ブライダルオーダースーツ / リクルートオーダースーツ(就活スーツ) / セレモニーオーダースーツ(卒入スーツ) / オーダーセットアップ / オーダーコート(春秋冬限定) / Berwick1707(シューズ) / ネクタイ・チーフ / ギフト券 / カフス / ベルト<レディース>
オーダースーツ / ジャケット / オーダーシャツ / オーダーコート(春秋冬限定) / フォーマル / リクルート / セレモニー / スカート / パンツ / パンプス<キッズ/ジュニア(男の子用)>
オーダースーツ、オーダーシャツ