資さんうどんの挑戦:九州の伝統から関西の新市場へ
その土地土地に由来の食べ物や食べ方なんていうものが存在します。関東地方であれば餃子は宇都宮、焼売弁当は横浜などのように土地と食文化は紐づいているものです。今回紹介するのはうどん。うどんといえば今や讃岐うどんというイメージが強いのですが、実は九州にもうどん文化というものが根付いています。
博多地域は商人の町として栄え、時間を効率的に使いたい商人たちのために、噛み切りやすい柔らかな「茹で置き」のうどんが普及しました。福岡県はうどんと蕎麦の発祥地とされており、中国から持ち帰られた製粉技術が小麦粉の大量生産を可能にし、これが福岡地域での麺文化の基盤となりました。さらに、福岡市博多区に残る承天寺や五島列島の五島うどんなど、多岐にわたる麺文化の歴史と地域特有の製法が組み合わさり、今日まで受け継がれています。
北部九州における麺料理のバラエティは他に類を見ません。とんこつラーメン、ちゃんぽんなど全国的に知られる料理の源流がありますが、地域独自の伝統的な麺づくりも盛んで、「神埼そうめん」や「島原そうめん」「南関そうめん」などが存在します。福岡県を中心とした北部九州のうどん屋では「ごぼ(う)天うどん」のような地域独自のメニューが揃っており、その多様性と深みは、北九州の麺文化が他地域と一線を画す要因となっています。
そのごぼう天うどんが看板メニューで人気なのが資さんうどん。資さんうどんの歴史は、1976年に大西章資が戸畑区一枝に本店を開店したことから始まります。2年間の試行錯誤を重ね、現在の「資さんうどん」の原型を築きました。店名は大西氏の名前から一字取り、「資さんうどん」とし、親しみやすい店名として愛されるようになりました。評判を呼び、店舗数を増やし、会社を設立。そのロゴはベテラン従業員・井藤さんに感謝を込め、創業当初からの支えとなっています。「ごぼう天うどん」は、最初のかき揚げから改良を重ね、現在のスティック状に至りました。
2009年には、福岡都市圏への出店を開始し、北九州以外の地域でも徐々に受け入れられるようになりました。大西氏の後継者たちは「幸せを一杯に。」という使命を持ち、最高の一杯をお届けし、幸せを分かち合う挑戦を続けています。創業者・大西章資は、一軒の店からのスタートで、お客様を喜ばせるための挑戦を重ね、24時間営業や100種類以上のメニューに取り組みました。この精神は今も受け継がれ、資さんうどんは地域に元気とぬくもりを届けるため、従業員とともに更なる挑戦を続けています。
現在、北九州市戸畑区に始まり、福岡、佐賀、熊本、大分、宮崎、鹿児島、岡山県など、九州・山口地域を中心に出店を広げ、その経営理念「幸せを一杯に」のもと、数多くのお客様に資さんの自慢の味を提供してきました。この度、ついに関西地区への出店が決定。「資さんうどん」の記念すべき関西1号店は、「資さんうどん今福鶴見店」として大阪市鶴見区の商業施設「フレスポ鶴見」内に、2023年11月にオープン予定。また、1店舗出店に先駆けて、短期出店やイベントへの参加も計画されており、まず認知度を高めてからの出店となる模様。関西1号店が成功するとドミナントを形成し、関西での展開も十分に考えられるブランドであると思われます。今後の展開に注目です。
関西への新たな展開は、資さんうどんの成長と地域に根付いたうどん文化の拡充への新しい一歩を象徴しています。九州地方の豊富な麺料理の伝統が、新しい地域での受け入れに繋がることは、食文化の普及と地域間のつながりを深化させる素晴らしい例であります。資さんうどんが掲げる「幸せを一杯に」という経営理念が、新しい市場でも人々と共鳴し、その特異な味わいと温かみが人々に愛されることを期待します。今福鶴見店のオープンは、関西地域における麺文化の更なる発展の契機となることでしょう。地域の特色を生かした商品展開と、食を通じて人々との絆を深める挑戦は、商業と文化が一体となる素晴らしい事例であり、今後のさらなる成功に向けて、目を離せない展開が待ち受けていると言えるでしょう。株式会社資さんのプレスリリースから画像を引用。