観光地の商業施設のあり方
観光資源を生かして商業施設をつくりあげる例は日本各地で見られるようになっている。最近では自然をそのまま活かした商業施設などもみられるようになり、非日常での商業を楽しめる仕組みづくりが進んでいっている。ベーシックなものでいくと、元々あった歴史的建築物を活かした商業施設があげられるであろう。歴史的建造物の商業施設の先駆けで今も存在している施設といえば横浜の赤レンガ倉庫。
半農半漁の村であった横浜村がその地形が評価され開口することになったはいいが、港としての機能は不十分であった。そのために地域の住民たちが駆り出され水深を増す浚渫工事や港につながる道作り、居留地や波止場づくりを行った結果として、今の横浜の前身となる港町ができあがっていった。1859年横浜港は開港し貿易を開始し取引高は成長していった。大正時代には保税倉庫が必要なほどまで成長したために作られたのが赤レンガ倉庫の2号館、1号館であった。赤レンガ倉庫は関東大震災で半壊した後に修復、戦後には進駐軍の港湾司令部として接収され使用されたりと時代に翻弄されつつ1989年に倉庫利用を廃止されることになった。2002年になり10年かかった保存活用工事が終了し商業施設として使われるようになったのが今の赤レンガ倉庫。そして今年開業20年となる。
今年5月から大規模改修工事で休館、リニューアルオープンを12月上旬にするとのこと。リニューアル後には60店舗がオープンするがそのうち18店舗が新規出店の店舗となるという。リニューアル後のコンセプトは「BRAND NEW “GATE”」。横浜赤レンガ倉庫を、横浜と世界、日常と非日常、過去と未来をつなぐ新しい扉“GATE”と位置付けたコンセプトとのこと。新店の中には横浜にゆかりがあるブランドや常設店初の店舗も多く地元の顧客にも楽しめる施設となりそうだ。
観光資源を活かした商業施設の難点は保存。どうしても歴史的建造物なのでケアが必要となるために新規の施設よりもメンテナンスコストがかかる。同時に外からの顧客を獲得する仕組みをつくるとウィークデーが弱くなってしまうので、地域性を活かしたテナントミックスもおこなわないといけない。地元から愛される歴史的建造物の商業施設づくりができるかどうかが観光資源を活かした商業施設づくりの秘訣であろう。以下、株式会社横浜赤レンガのプレスリリースから画像と施設概要を引用。
■横浜赤レンガ倉庫 施設概要
施設名: 横浜赤レンガ倉庫
所在地: 神奈川県横浜市中区新港一丁目1
公式サイト:
https://www.yokohama-akarenga.jp/
(リニューアル特設サイト:https://www.yokohama-akarenga.jp/renewal2022/)アクセス:
みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」より徒歩約6分
JR・市営地下鉄「桜木町駅」より汽車道経由で徒歩約15分、「関内駅」より徒歩15分