編集型ショップが都心で“当たり前”になった今、H.P.FRANCEは地方百貨店で再起の勝ち筋を探る
アッシュ・ペー・フランスは、2026年2月27日に鶴屋百貨店(熊本市・東館1階)へ「H.P.FRANCE 熊本店」を、2026年3月5日に福屋広島駅前店(広島市・2階)へ「H.P.FRANCE 広島店」をオープンすると発表した。熊本は同社として初出店エリアと位置づけられ、両店ともに「日常の中に、ひとクセを。」を掲げた“編集型”の新しい店づくりを打ち出している。
今回のニュースを、単なる新店情報で終わらせないほうがよい理由は、タイミングが明確に「再建の局面」と重なるからだ。アッシュ・ペー・フランスは2023年2月に東京地裁へ会社更生法の適用を申請しており、その後、支援スポンサーの選定を経て、2024年8月にBrighten Japanが全株式を取得し完全子会社化したことが公表されている。再建期の小売に求められるのは、理念や世界観を保ちながらも、投資と固定費を管理しやすい形で、確度の高い売上を積み上げることだ。百貨店インショップという出店形態は、その要請と整合しやすい。
ここで読み筋になるのが、あなたが指摘した「都心では飽和しやすい編集型が、地方ではまだ効く」という構図である。都心部は編集型の店舗が増え、顧客の選択肢も情報量も多いぶん、“編集している”だけでは差になりにくい。対して地方は、同じ編集型でも「知っている」「一度は見たい」という認知そのものが、来店理由として機能しやすい土壌が残り得る。再建局面における現実的な成長策として、勝率が見込みやすい地形へ寄せていく発想は自然だ。
ただし、地方で認知を武器にできるとしても、初速だけで持続するわけではない。地方百貨店は都心の旗艦立地ほど自動的な新規流入が起きにくく、二回目以降の来店理由をつくれないと、売上はイベントや季節波動に寄りやすくなる。今回の新店が、ニューススタンドやミュージアムショップ、蚤の市のような「編集された場」を参照し、回遊性のある売場体験まで含めて提案するとしている点は、単なる“モノの強さ”ではなく、“見つける体験”を日常導線の中で回す意図と読める。また、架空のショップ「H.P.F,」をコンセプトにしたオリジナルライン(Tシャツ、キャップ、トート)やノベルティを用意していることは、入口の買いやすさを設計し、初回購入の心理的ハードルを下げる工夫でもある。
施設側の観点に置き換えると、この種の編集型ショップ導入は「売場の鮮度」と「館内回遊」を同時に取りにいく施策になり得る。鶴屋の東館1階、広島駅前の百貨店2階という立地は、百貨店の中でも買い回りが起きやすいゾーンになりやすく、雑貨・服飾・ギフトの導線と相性が良い。編集型の価値は、単価の高い一点物だけで語るよりも、発見性と更新性をどう維持するかで成果が変わる。百貨店が欲しいのは“話題のテナント”だけではなく、来店頻度の高い顧客に対して、短い周期で「また見に行く理由」を生む売場であり、今回の店型はその方向へ寄せた設計に見える。
リーシングや業界の目線での焦点は、これが「単発の地方開拓」なのか、「店舗網の組み替え=スクラップ・アンド・ビルドの一部」なのかである。再建期の小売は、増やすこと自体が目的になりにくく、閉店・移転・刷新を織り交ぜながら、最適な配置へ寄せていく。その意味で、次に見るべきは、同様の地場百貨店への出店が連続するか、都心側での整理と地方新設がセットで進むか、そして“日常寄せの編集型”という仕様が他地域へ複製されていくかだ。評価軸は、開業直後の話題性よりも、売場更新の頻度、入口商品が継続的に回るか、ギフト需要と結びつくか、館内回遊の成果として買上点数が伸びるか、といった持続指標に置くのが妥当になる。以下、アッシュ・ペー・フランス株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
2026年2月27日(金)オープン
H.P.FRANCE 熊本店
所在地:熊本県熊本市中央区手取本町6-1 鶴屋百貨店 東館1F
電話番号:096-223-5088
営業時間:10:00~19:00
2026年3月5日(木)オープン
H.P.FRANCE 広島店
所在地:広島県広島市南区松原町9-1 福屋広島駅前店 2F
電話番号:082-568-3586
営業時間:10:00~20:00







