紀伊國屋書店、旭屋書店を完全子会社化 – 書籍業界の再編加速へ
紀伊國屋書店が株式会社旭屋書店および株式会社東京旭屋書店の完全子会社化を完了したことが明らかになった。2024年12月27日付で、紀伊國屋書店はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)から両社の全株式を取得し、新たな経営体制のもとで事業運営が行われることとなる。
旭屋書店および東京旭屋書店は1946年創業の歴史を持ち、関東・関西エリアを中心に11店舗を展開している。2018年にCCCグループの傘下に入り、同社のシステムを活用した書店運営を行ってきた。今回の買収により、紀伊國屋書店は自身の経営資源やサービス基盤を両社に提供し、さらなる成長と地域文化の発展を目指す方針だ。
新経営体制には、紀伊國屋書店から川上幸弘氏(取締役)が代表取締役社長として就任するほか、藤則幸男氏(紀伊國屋書店代表取締役社長)、森啓次郎氏(副社長)、大野繁治氏(副社長)が取締役に名を連ねる。紀伊國屋書店の経営陣が直接参画することで、両社の運営に紀伊國屋書店のノウハウが直接反映される形となる。
この買収の背景には、書籍業界全体で進む大規模な統廃合の流れがある。インターネット通販や電子書籍の普及により、従来の書店モデルが大きな変革を求められている中、紀伊國屋書店は伝統的な書店文化を守りつつ、新たなサービスや顧客体験を提供することで競争力を高めている。
紀伊國屋書店は長年にわたり国内外で事業を展開し、日本国内では主要都市を中心に店舗を構える老舗書店である。今回の旭屋書店および東京旭屋書店の子会社化は、同社の事業規模拡大だけでなく、地域に根付いた店舗運営を強化する目的もある。
旭屋書店は戦後の文化復興を目的に創業され、「本を通じて人々の心に潤いを」という理念のもと、地域に密着した事業展開を進めてきた。現在は大阪や奈良、兵庫など関西エリアを中心に複数の店舗を展開しており、東京旭屋書店は東京都内をはじめ千葉や埼玉でも営業している。
紀伊國屋書店の完全子会社化により、旭屋書店および東京旭屋書店は同社の強力な顧客基盤やイベント運営力を活かし、地域の文化拠点としての役割をさらに強化することが期待される。
今後、紀伊國屋書店グループは旭屋書店および東京旭屋書店の既存店舗を活かしつつ、新たな価値創出を目指して取り組む計画だ。これにより、消費者に対してより多様な本との出会いを提供し、書籍文化の発展に寄与していくことになる。