神戸市営地下鉄名谷駅直結「須磨パティオ」、大規模リニューアルでグランドオープンへ
神戸市営地下鉄名谷駅直結の商業施設「須磨パティオ」が、2025年3月18日にリニューアルグランドオープンを迎える。これは、神戸市が進める「リノベーション・神戸」および「名谷活性化プラン」の一環として進められてきたプロジェクトで、地域の魅力向上と商業施設の活性化を目指した取り組みである。
須磨パティオの変遷と再開発の背景
須磨パティオは1980年の開業以来、長年にわたり地域住民の生活を支えてきた商業施設だ。しかし、近年の都市型ショッピングセンターの進化や、消費者ニーズの変化により、施設の刷新が求められていた。名谷エリア全体の再開発が進む中、須磨パティオも新たな時代に即した形へと変貌を遂げることとなった。
今回のリニューアルでは、全体的な施設のリブランディングが行われ、「みんなでピクニック、須磨パティオ。」をコンセプトに、多世代が楽しめる空間を創出することが目標とされた。
リニューアルの主なポイント
リニューアルの目玉のひとつが、3番館1階に新設されるフードコート「ピクニックダイニング」だ。家族連れや一人でも楽しめるよう、多様な飲食店が出店するほか、子ども向けの小上がりスペースやテラス席が設置される。食の多様性と利便性を兼ね備えた新たなエリアとして、商業施設における飲食の魅力を高める役割を果たすことが期待される。
また、2番館1階にはシェアキッチン「ヒトトバル」が登場する。日替わりで異なる出店者が営業するため、訪れるたびに異なるグルメ体験が楽しめる。近年、都市部の商業施設ではこうしたシェアキッチンの導入が増えており、新規飲食事業者にとっての参入のハードルを下げる役割も担っている。地域の食文化を活性化させる場としての機能が期待される。
地域に根ざした空間作り
須磨パティオのリニューアルでは、単なる商業施設の刷新にとどまらず、地域の多世代が交流できる場としての機能強化も図られている。
その一環として、屋上には「PATIO屋上ひろば」が設けられる。芝生スペースや「こどものにわ」といった子ども向け遊具エリアが整備されるほか、屋上菜園「pick! nic! farm」では、土づくりから収穫までを体験できるワークショップが開催される予定だ。環境に配慮した施設運営の一環として、西神戸ゴルフ場跡の伐採木を活用したベンチが設置されるなど、SDGsの観点を取り入れた取り組みも進められている。
さらに、2番館1階には「健康ステーション」が設けられ、血圧計などの健康チェック機器を設置。買い物のついでに自身の健康を確認できる場として活用される予定だ。また、館内を回遊しながら参加できる「健康スタンプラリー」を実施し、ウォーキング促進による健康増進を図る。こうした取り組みは、高齢化が進む地域社会において、商業施設が担う新たな役割を示すものとなる。
地域の文化・創作活動を支援する場として
須磨パティオのリニューアルでは、地域住民が参加できる創作活動の場も設けられる。「Ole! PATIO(オーレ!パティオ)」は、ものづくりをする人を応援するためのチャレンジショップで、センターコートに販売や展示のスペースを用意。2024年12月から試験運用が始まり、今後も多くの出店者の利用が見込まれている。
また、商業施設内で市民参加型アートプロジェクトも展開。中庭には「こどもたちの健やかな未来」をテーマにしたアート作品「須磨ンマンゾウ」が展示される。この作品は2025年3月1日から2027年2月28日まで設置され、リニューアルの象徴として施設内の新たな魅力となる。
神戸市内の他のリニューアル事例との比較
神戸市内では、須磨パティオ以外にも商業施設のリニューアルが進行中だ。例えば、三宮エリアでは「クレフィ三宮」のリニューアルが2024年に完了し、地元企業と協力したショップ展開が行われている。また、新長田エリアでは「東急プラザ新長田」の開発が進められており、地域特性を生かした商業施設の在り方が模索されている。
須磨パティオのリニューアルは、これらの動きと並行しながら、地域密着型の商業施設としての価値を再定義するものとなる。商業施設の役割が単なる買い物の場から「地域のハブ」としての機能へと広がる中で、その成功モデルとしての位置づけが注目されるだろう。
まとめ
2025年3月18日にリニューアルグランドオープンを迎える須磨パティオは、飲食、健康、文化活動の要素を融合させた、新しい形の地域密着型商業施設として生まれ変わる。シェアキッチンや屋上菜園、健康ステーションといった多彩な機能を備え、来館者に新たな体験を提供する。
近年の都市型商業施設の動向を踏まえ、須磨パティオがどのような形で地域の活性化に寄与するのか、その動向が今後の商業施設運営の指標となる可能性がある。神戸市内の他の施設とも比較しながら、リニューアル後の展開に注目したい。以下、株式会社こうべ未来都市機構のプレスリリースから画像を引用。