永遠に完成しない商業施設を目指して
定期的に同じ顧客が来店する商業施設において、顧客に飽きさせない仕組みづくりを行うことは重要。かつてウォルト・ディズニー氏がディズニーランドは永遠に完成しない。世界に想像力がある限り、成長し続けるだろうと言いました。これを東京ディズニーランド総合プロデューサーの堀貞一郎氏が「人々に飽きさせずにリピート利用をしてもらうためには定期的に改装し続けることで来場動機を与え続けるためだ」と解釈しました。商業施設も同様に定期的に改装し続けることで来店動機を与え続けることが可能になります。
しかしながら、テーマパークの改装頻度と商業施設の改装頻度は異なります。なぜならば商業施設の場合は来店頻度が元々テーマパークよりも高いために改装頻度は高くなければいけません。とはいえども、貸し付けることができる店舗面積は限られていますし、いまや定期借家契約の時代で数年に1度ゾーンごとにリニューアルをかける形になるのが一般的な形式。たとえば5つのゾーンもしくは5階建ての商業施設だったとして、5つのゾーンごとの契約終了時期をずらして契約締結すればどこかで毎年改装が入ることになります。しかしながら、収益的に見ると年に1回1フロアすべてが営業を停止している状態になるのも望ましくもありませんし、毎年リーシング部隊が動かなければならなくなると部隊も疲弊します。
そう考えるとどういう改装がいいのか?その問いに答えるのが催事出店の活用。今風に言うとポップアップショップの活用です。ポップアップショップであれば数ヶ月に1回店舗を入れ替えることも可能です。これをうまく活用した事例が今回のニュース。都内最大の野球場である東京ドームの1Fのグルメストリートに期間限定ショップがオープン。創業100年の老舗肉豚屋直営店舗である「一豚入魂 肉豚屋リキ」と「ポテトマニア」が出店するとのこと。一豚入魂 肉豚屋リキは無水煮込みのモツ煮込みで他ではなかなか食べられない濃厚な豚ホルモンのモツ煮込みを、ポテトマニアではバリエーション豊かなフライドポテトをそれぞれ提供。
飲食店、とりわけ軽飲食のポップアップショップやキッチンカーは目先のイメージを変えることが可能なテナントミックスです。他方で物販のポップアップショップとなるとトライアル出店の色がより濃い形になります。飽きさせないテナントミックスづくりであれば軽飲食。定期的な改装に向けてトライアルを行うのであれば物販のポップアップショップを出店させてテストをして、定期改装時に定期借家契約での出店というのが美しいのではないでしょうか?以下、株式会社東京ドームのプレスリリースより画像と店舗概要を引用。
◆1塁側
◎期 間:8月12日(金)~11月23日(祝・水) 予定
◎店舗名:一豚入魂 肉問屋リキ
◎業 態:豚肉専門店
◎商 品:肉問屋リキ!本気モツ煮込み 650円 他◆3塁側
◎期 間:8月1日(月)~11月23日(祝・水) 予定
◎店舗名:ポテトマニア
◎業 態:フライドポテト専門店
◎商 品:ソルト 500円、明太マヨネーズ 750円 他