民芸ブランドに新たな展開
民芸ということばをご存知であろうか?もともとは民衆的工芸ということばの略で大正時代に柳宗悦を中心として提唱された造語。それまで美術的評価を受けてこなかった日本各地の焼き物、染織、漆器、木竹工などの日用雑器に光を当て、正当な評価をうけさせ、夜に広めようとして起こったのが民藝運動。その柳宗悦が集めたコレクションが今でも東京都目黒区駒場にある日本民藝館には多く所蔵され公開されている。私も見に行ったことがあるのですが、素晴らしい細やかな手工芸品の数々に驚きの連続体験ができるのでおすすめのスポットです。ではこれらの民芸が今どうなっているのか?
一部は世界のセレクトショップで販売されるようになった商品もありますが、多くは地場産業としてほそぼそと卸売を中心として展開している事業者が多いのが現状。そんな中でも攻めの広報と小売展開で昨今注目されているのが豊岡鞄。豊岡鞄の歴史は古く神代からその歴史はスタートしています。兵庫県の但馬という地域を拓いたとされるアメノヒボコノミコトが柳編みの技術を伝えたことから豊岡鞄は始まったと言われそれから柳細工で作られたカゴ、柳こおり(柳行李)柳や竹で編んだ箱型の入れ物を作り始め、文明開化するころには柳行李に革バンドをつけて行李鞄が製造されるようになりました。その商品はパリ大博覧会、シカゴ万博博覧会で銀賞を受賞するほど評価を得ました。その後2006年に兵庫鞄工業組合登録商標の豊岡鞄が地域団体商標として認定され、2008年には豊岡鞄KITTE丸の内店をオープン。2020年には豊岡鞄伊丹航空ゲート店がオープン。という具合に工業組合で豊岡鞄を売り出す活動を積極的に行われている。ECサイトももちろんあり、積極的に直接販売をおこなっている状況。
そんな中、豊岡の鞄メーカー平野株式会社が鞄倶楽部大阪店を大阪メトロ御堂筋線本町至近にオープン。ECサイトで展開していると実際にものを見てみたいというご要望をいただくようで、そのご要望に応える形での店舗開店となったという。工業組合の中でワンノブゼムとして商品を扱われていると豊岡鞄の認知度は向上し、ブランド力は高まるかもしれません。しかし、参加する企業単体での成長を求めると当然のように自社で店舗を展開しなければならなくなるタイミングというのがあるのだと思います。これは鞄だけの話ではなく、陶器、織物、漆器なども同じで大きく成長しようとすると投資は免れませんし、リスクをある程度許容していかないと成長はありません。今回の平野株式会社の英断と勇気は評価されるべきです。平野株式会社の今後の挑戦に期待です。平野株式会社のプレスリリースから画像を引用。