旧そごう川口跡地を再生──地域の記憶を受け継ぎ新たに誕生した「ららテラス川口」、駅直結で本日開業
2025年5月31日、埼玉県川口市に新たな商業施設「三井ショッピングパーク ららテラス川口」がグランドオープンした。旧そごう川口店の建物を再活用し、駅前の新たな顔として再生された同施設は、川口駅東口直結という交通至便の立地とともに、「在るもので、新しく」をコンセプトに掲げ、かつての地域の象徴を現代のライフスタイルに即して昇華させている。
同施設の前身であるそごう川口店は、約30年間にわたり地域住民に親しまれてきた百貨店であり、地域の記憶が詰まった場所でもあった。今回のリニューアルでは、建物構造を残した上で、大理石の内装やからくり時計といった歴史的要素をそのまま生かすデザインが採用された。なかでも、かつてのエントランス横にあったからくり時計は、新たな姿となって再登場し、6月末までは毎正時に演出が行われる。
オープン当日は、川口にゆかりのある政治・行政・鉄道・民間の各代表が登壇するセレモニーが開催され、「TSUNAGARU ムービー」の上映やテープカットが行われた。館内では栄二打樂團による太鼓の演奏も披露され、初日から多くの来館者で賑わいを見せた。
施設は全94店舗で構成され、うち埼玉県初出店のテナントが8店舗を占める。注目すべきは地下1階の食品ゾーン「川口FOOD MARKET」で、30店舗が集積。生鮮三品に加え、惣菜や弁当、和洋菓子など、デイリー利用に特化した業種構成が特徴である。イートインとテイクアウト双方に対応したフードコートエリアも設けられており、生活利便性と回遊性を両立したゾーニングとなっている。
川口市は埼玉県内で人口約60万人を擁し、東京近郊のベッドタウンとして人口増加が続いている都市である。昼夜間人口の差が少なく、地元での消費活動が活発である点も特筆に値する。実際、川口市の商業年間販売額は1兆円を超えており、県内でも屈指の商業集積地といえる。
こうした商業力を背景に、周辺にはアリオ川口、川口キャスティ、リプレ川口などの競合商業施設が存在する。中でもアリオ川口はシネコンを備えた大型モールで広域集客を得意とする一方、川口キャスティは駅直結の利便性を生かした日常使いの需要に応える施設である。これに対し、ららテラス川口は中規模商業施設として、地域密着型の業態を軸に、そごう時代からのレガシーを内包しながら日常ニーズに対応する立ち位置を狙っている。
今後、再開発が進む川口駅周辺エリアでは住宅供給と人口流入が続くと見込まれ、ららテラス川口も足元商圏をベースに安定した来館者数を確保することが期待される。レガシーの継承と現代ニーズの融合を図った今回の開業は、地域商業の新たな模範ともなり得る事例といえるだろう。以下、三井不動産商業マネジメント株式会社のプレスリリースから画像と施設概要を引用。
「三井ショッピングパーク ららテラス川口」につきまして
名称 :三井ショッピングパーク ららテラス川口
所在地 :〒332-8511 埼玉県川口市栄町3丁目5番1号
ホームページ :https://mitsui-shopping-park.com/lalat-kawaguchi
運営 :三井不動産商業マネジメント株式会社
交通 :JR京浜東北線 「川口」駅東口からペデストリアンデッキにより直結
営業時間 :ショッピング・サービス 10:00~21:00 / フードコート 10:30~21:00
※一部営業時間の異なる店舗がございます。 ※ラストオーダーは店舗により異なります。