日比谷エリアで進む次世代スマートシティ構想──NTT日比谷タワーを核とした「光の街」づくりが本格化
日比谷エリアで進む都市再編において、内幸町一丁目街区を中心とした大規模プロジェクトが大きな節目を迎えている。NTTグループが示した「光の街」づくり powered by IOWN は、都市空間に先端通信基盤を直接実装するという点で、従来の再開発とは一線を画す特徴を持つ。通信・AI・街づくりを三位一体で設計する姿勢は、都市型スマートシティの実装段階を迎えた象徴的事例と言える。
同街区に建設されるNTT日比谷タワーは、2031年の竣工を予定しており、街区全体で約110万㎡の規模を持つTOKYO CROSS PARK構想の中心となる。NTTは本社機能をこのタワーへ移転する計画を示しており、創業期から縁の深い日比谷という立地に最先端の都市モデルを重ね合わせることで、企業としての象徴性と技術発信の両面を担う空間が生まれることとなる。
注目されるのは、光を中心としたIOWN技術を都市スケールで活用し、建物・設備・情報システムを一体で制御する設計思想にある。これにより、従来型のデータセンター依存で生じていた遅延や消費電力の課題を大幅に抑制し、業務効率化や都市インフラの高度化を支える基盤が整備される。特にオフィスフロアでは、リアルタイムの空間伝送と生成AIが連動した環境が想定され、ワーカーの行動に応じて情報が最適化される新しいワークプレイス像が提示されている。
商業施設においても、この都市基盤は新たな体験価値の創出に直結する。タワー低層部には日比谷公園と連続する大規模アトリウムが形成され、巨大LEDビジョンを備えたプレゼンテーション空間として機能する。企業の発信イベントだけでなく、常設コンテンツやアート展示、ライブビューイングなど、リアルとバーチャルの境界を柔らかく接続する用途が広がる見通しである。商業ゾーンにとっては単なる集客装置ではなく、都市全体を舞台としたメディアプラットフォームとしての利用が期待され、従来型のテナントミックスとは異なる開発可能性が見いだされる。
また、本計画は環境性能の面でも特徴的である。ZEB Ready の達成に加え、建物設備をAIが統合管理することにより省エネと快適性を両立する運用が構想されている。都市全体の脱炭素化が求められる中、超・低消費電力化を前提としたタワー開発は、他エリアへの波及を促すモデルケースとなる可能性が高い。
内幸町一丁目街区は、霞が関・日比谷・新橋を結節する日本の中枢エリアに位置しており、今後は官民連携や研究機関との協働が広がるとみられる。NTT日比谷タワーは、単なる本社移転ではなく、都市を通じて技術の社会実装を加速させる拠点として位置づけられる。ここで得られる知見が周辺エリア、全国、さらには海外都市へ展開されることで、スマートシティの実践的モデルとしての存在感がさらに高まるだろう。
2030年代の日比谷は、伝統的なビジネス街としての風格を保ちながら、新たな都市インフラを備えた「光の街」へと歩みを進めている。商業・オフィス・公共空間が技術によって再定義されるこの街区は、都心における新しい価値創造の場として商業施設関係者からも高い注目を集めている。以下、NTTアーバンソリューションズ株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。以下、同社のプレスリリースから画像と施設概要を引用。
物件名称 NTT日比谷タワー 所在地(地番) 東京都千代田区内幸町一丁目1番10他 延床面積 約361,000㎡ 建物高さ/規模 約230m / 地上48階、地下6階、塔屋2階 用途 オフィス、産業支援施設、ホール、商業、宴会場、ホテルなど 事業主 NTT都市開発株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社 タワー竣工 2031年10月末(予定) 街区全体竣工 2037年度以降






