日本のお酒の魅力を発信する新たな拠点、IMADEYAが名古屋に初出店
日本酒やワインなどのクラフト酒を中心に取り扱うセレクトショップ「IMADEYA」が、2024年11月29日、名古屋市の松坂屋名古屋店に新店舗「IMADEYA NAGOYA SAKAE」をオープンする。千葉に本社を置く株式会社いまでやによる今回の出店は、同社にとって7店舗目となり、東海エリアへの初進出となる。
IMADEYAは1962年の創業以来、少量生産の日本酒や日本ワインを中心としたクラフト酒の取り扱いで知られ、主に飲食店への卸売を通じて事業を拡大してきた。2016年に千葉エキナカへの出店を皮切りに、2017年にはGINZA SIX、2019年には錦糸町PARCOと、大型商業施設への出店を積極的に進めてきた。しかし、その後はコロナ禍の影響もあり、清澄白河や軽井沢など、新たな顧客層の開拓を目指した比較的小規模な出店戦略を取っていた。
今回の松坂屋名古屋店への出店は、大型商業施設としては5年ぶりとなる。注目すべきは、この新店舗に同社初の一般公開型熟成庫「IMADEYA AGING LABORATORY」を併設する点だ。これは、IMADEYAが昨年千葉本店に設置した約1万6千本の熟成能力を持つ自社熟成庫のコンセプトを発展させたものである。
「IMADEYA AGING LABORATORY」では、通常の店舗では見られない希少な熟成酒を取り扱う予定だ。この特別なエリアは、当面の間、有料制(試飲体験付き)で運営される。ここでは、徹底した温度管理のもと貯蔵された特別なお酒を試飲できるほか、入場者限定の商品も用意されるという。
さらに、IMADEYAは松坂屋名古屋店の外商部門と連携し、外商顧客向けの限定サロンスペースも設置する。このサロンでは、熟成庫に保管されているお酒の試飲や、専門スタッフによるきめ細かなサポートを受けながらの買い物体験が可能となる。
IMADEYAのこうした取り組みは、日本酒をはじめとする国産酒の高付加価値化を目指す動きの一環と見ることができる。同社は「日本のお酒は安すぎる」という問題意識のもと、熟成による価値創造に取り組んでおり、今回の名古屋店の出店はその取り組みを広く発信する場としても機能することが期待される。
商業施設運営者にとって、IMADEYAのような専門性の高いテナントの誘致は、施設の差別化や集客力向上につながる重要な戦略となりうる。特に、熟成庫やサロンスペースといった付加価値の高い施設を併設することで、単なる物販にとどまらない体験型の店舗として機能し、顧客満足度の向上や滞在時間の延長にも寄与する可能性がある。
また、外商顧客向けのサービス強化は、高級百貨店としての松坂屋のブランド価値向上にも貢献するだろう。クラフト酒や熟成酒といった付加価値の高い商品を扱うIMADEYAとの連携は、富裕層顧客へのアプローチとしても効果的と考えられる。
IMADEYAの名古屋進出は、日本酒文化の新たな発信拠点としての役割も果たすことが期待される。熟成酒の魅力を広く伝える場として機能することで、日本酒業界全体の活性化にもつながる可能性を秘めている。商業施設運営者にとっては、こうした文化的な側面を持つテナントの誘致が、施設の社会的価値向上にも寄与する点に注目すべきだろう。株式会社いまでやのプレスリリースから画像を引用。