岡山県初の「ゆめモール」、“通う・憩う”地域密着型NSCが山陽に誕生
株式会社イズミが手がけるオープンモール型商業施設「ゆめモール山陽」が、2025年6月12日、岡山県赤磐市にグランドオープンする。岡山県内で初となる「ゆめモール」業態の施設であり、イズミが掲げる“生活に寄り添う商業施設”のコンセプトを体現した新拠点である。
「ゆめモール山陽」は、イズミが展開する食品スーパー「ゆめマート山陽」を核店舗とし、アパレルや雑貨、飲食など多彩な専門店14店舗が集う近隣型ショッピングセンター(NSC)で構成される。約27,500㎡の敷地内には280台分の駐車場が確保され、施設内のテナントが駐車場を囲むように配置されているのが特徴。来店客は目的の店舗に近接して車を停められる導線設計により、効率的な買い物環境を実現している。
このエリアの生活消費は主に地元住民による日常的な需要が中心であり、マルナカやディオ、ラ・ムーなどの食品ディスカウント業態が先行する中で、イズミは利便性に加え、地域連携と環境対応を強みに差別化を図る。赤磐市と締結した包括連携協定に基づき、農産物の地産地消の推進、子育て支援、災害対策などのテーマに取り組む方針で、単なる商業施設の枠を超えた“地域の生活基盤”を意識した展開が見られる。
とりわけ環境配慮においては、「ゆめモール山陽」が再生可能エネルギー100%使用のモデル店舗として運営される点が注目される。施設内の太陽光発電設備からの電力供給と、PPAモデルを活用した自家消費型の電力利用を軸に、足りない分は中国電力から再エネ電力を調達するというスキームで、イズミが掲げる「2050年CO2排出ゼロ」の目標に沿う取り組みが実践される。
また、店内で使用する買い物かごにはペットボトルキャップをリサイクルした素材を採用し、ペットボトルやアルミ缶の回収機を設置するなど、水平リサイクルの仕組みも導入。さらに、フードドライブや賞味期限が迫った商品の購入を促す「もぐもぐチャレンジ」といった食品ロス削減のプログラムも展開され、来店客の参加によって持続可能な循環を促すモデルケースといえる。
イズミがこれまで広島、山口、熊本などで展開してきた「ゆめモール」業態は、モール型とNSC型の間をとるような構成をとり、地域密着性と機能性のバランスを特徴としてきた。今回の「ゆめモール山陽」も例外ではなく、商圏人口規模や生活圏の利便性に合わせた設計となっており、赤磐市という中小規模都市でのNSC展開として、今後のイズミの中期戦略における指標的存在になる可能性が高い。
競合には、ディスカウント特化型のラ・ムーやマルナカなどがあるが、イズミは価格訴求だけに頼らず、地域貢献・環境対応・短時間滞在型の利便性といった複合的価値を提供することで、地元住民の支持を得る構えだ。特に自家用車を利用する世代へのリーチが高い赤磐エリアにおいて、オープンモール型の柔軟な動線設計と一か所集約型の業態は、競争優位性を発揮する余地がある。
イズミの「ゆめモール」展開は、広域型モールに依存しない“生活動線内で完結する商業施設”の在り方を示すものであり、同社のSDGs戦略や地域連携モデルとともに、今後も注視される存在となるだろう。以下、株式会社イズミのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
< 店舗概要 >
1. 施設名称 ゆめモール山陽
2. 所 在 地 岡山県赤磐市下市473
3. 敷地面積 約 27,500㎡
4. 延べ面積 約 9,200㎡
5. 駐車台数 約 280台
6. 駐輪台数 約 45台
7. 開 業 日 2025年(令和7年)6月12日(木)
8. 店 舗 数 14店舗(ゆめマート山陽含む)
9. 従業員数 約 200名
10. 建設会社 大鉄工業株式会社