“大都市圏近郊 × 地産 × 滞在”の再編集力が商業施設を再構成する──淡路島に唐渡泰シェフのオーベルジュ型レストランが誕生
淡路島北部の高台に広がるグランピング施設「Olive Glamp淡路島 Virgin Valley」の敷地内に、ミシュラン12年連続星獲得の唐渡泰シェフが手がけるレストラン「ビストロカラト Virgin Valley淡路島」が誕生した。施設全体が掲げる「自然との共生」を体現するように、レストランでも淡路島の野菜、魚介、オリーブを活かした“野菜の美食”が提供される。単なる観光地の一角ではなく、「大都市圏近郊 × 地産 × 滞在」を融合させた商業施設再構成の先行モデルとして注目される出店だ。
手がけた唐渡泰シェフは大阪・心斎橋の「リュミエール」をはじめ関西圏を中心に複数の飲食店舗を展開する実業家でもあるが、その根幹には“野菜の美食”という明確な哲学がある。今施設でも、淡路島の農園で育つ新鮮な野菜や、岩屋漁港で水揚げされた魚介、自社搾油のオリーブオイルなど、地域資源を最大限に活かしたメニュー開発が進められている。薪窯で焼き上げる特製ピッツァの素材には、敷地内で採れた野菜やトマト、自家製のソースが用いられ、自然環境そのものが厨房と化している構図だ。
本施設はグランピングを中核としながら、レストランやサウナ、収穫体験などを含む複合滞在型施設として構成されている。なかでも「オーベルジュ的な機能」をレストランに担わせる構造は、これまでの宿泊特化型グランピング施設との差異化につながる。従来の商業施設では物販中心に展開されてきた構成を、滞在・体験型の「食・農・観光の融合空間」として再編集するアプローチが明確に打ち出されている。
また本案件は、大阪・神戸圏から90分以内という「都市近郊リゾート」に立地しており、今後のインバウンド対応型業態としての拡張性も持つ。訪日外国人観光客が求める“自然体験”や“地元食材の発見”、さらには“高付加価値の食のストーリー”といった要素が、この一施設内に凝縮されている点は特筆に値する。
商業施設の再構成を考える上で、「空間」「素材」「ストーリー」の編集力は欠かせない。特に地産地消型の高付加価値施設を都市圏からのアクセス圏内に成立させることで、目的地型商業施設としての再定義が可能になる。「ビストロカラト Virgin Valley淡路島」は、レストラン単体の開業ではなく、地域素材と宿泊・体験・販売を一体で設計し直す、“次世代型商業施設のモデル”としての要素を含んでいる。
淡路島という地理的ポジションの魅力と、唐渡シェフのブランド力、さらにオリーブ農園や国際的な食資源認証を背景とした地域価値の融合。これらが結実する「ビストロカラト Virgin Valley淡路島」は、オーベルジュを軸とした商業施設再構成の可能性を提示する最新事例として注目に値する。以下、株式会社ブッキングリゾートのプレスリリースから画像を引用。