古民家カフェ風の“映え空間”で滞在価値を拡張 ジャンカラ「すすきの狸小路店」が新業態で開業
カラオケ市場が回復基調に入る中で、空間価値を軸とした新しい業態づくりが各社で進んでいる。とりわけ若年層においては、音響設備や機器の性能だけでなく、「どんな空間で過ごすか」が選択の基準として重みを増してきた。店舗内での滞在行動が多様化し、SNSへの投稿も日常化する現在、カラオケボックスは単なる余暇消費の器から、体験を共有する場へと性格を変えつつある。
こうした市場環境の中で、全国201店舗を展開し、西日本最大規模のチェーンとして成長を続けるジャンカラが、札幌・すすきのに新たな業態店を開業する。「すすきの狸小路店」は、古民家カフェのような温かみのある素材感と、SNS映えを意識した空間設計を取り入れた店舗であり、カラオケ店の内装イメージを刷新する試みとして位置付けられる。
空間デザインの中心となるのは、暖色照明とナチュラルな素材、くすんだ色調の内装で構成された“映え空間”である。従来のカラオケが持つ暗く無機質な印象とは対照的に、館内のどこを切り取っても写真として成立するよう設計されている。カフェのような居心地を伴う空間は、歌う時間そのものだけでなく、滞在全体の価値を高める狙いが読み取れる。
加えて、用途を明確に分けたコンセプトルームを複数設けている点も特徴的である。推し活ルームでは色彩演出により推しの世界観を強調し、バンギャルルームではライブ最前列の感覚を疑似体験させる。ボードゲームルームは、繰り返し訪れるたびに違った遊びができる構成で、歌唱目的以外の滞在も想定した空間である。いずれも若年層のニーズを拾い上げたもので、空間消費が主導する現在のレジャー消費に対する適応が見える。
さらに、個室型の枠を超え、オープンカウンター「Karaoke Cafe ススキノ」を併設した点も興味深い。従来のカラオケ店では想定されにくかった“開放的な空間での滞在”を取り込むことで、コミュニケーションを軸とした利用モデルを提示している。個室以外の場を持つことは、利用導線の多様化につながり、商圏が広いすすきのエリアにおいては柔軟な受け皿として機能すると考えられる。
ジャンカラは、無人受付精算機の全店導入や、予約・受付・会計・飲食注文・選曲までをアプリで完結させる仕組みを展開するなど、DXによる利便性向上に早期から取り組んできた。今回の新店では、このデジタル基盤と空間価値を掛け合わせ、カラオケの利用体験そのものを拡張する方向性が示される。市場が成熟し、各社の差別化ポイントが限定される中で、“どこで過ごすか”という価値の比重が高まる潮流を踏まえた出店といえる。
札幌・すすきのは、観光客・学生・地元利用者・ナイトワーカーが混在する広域商圏であり、24時間営業型店舗との相性が良い。写真映えする空間や推し活需要に応えるルーム構成は、このエリアの利用者層と高い親和性を持つだろう。今回の開業は、チェーンとしての標準化を維持しつつ、地域の商圏特性と若年層の感性を踏まえた新たなモデル店舗として位置付けられる。
カラオケは音響設備の進化だけでなく、空間そのものが体験価値の一部となる段階に入りつつある。ジャンカラの新業態は、この変化を前提にした出店であり、今後のチェーン店づくりにおける方向性を示す一例となり得る。以下、画像と店舗概要を同社のプレスリリースから引用。
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■店舗概要
店舗名 :すすきの狸小路店
所在 :北海道札幌市中央区南2条西4丁目2番11号平成観光ビル4階
電話番号 :080-6598-3589
営業時間 :24時間営業





