双日×パルグループHDが進める「LOCUST」拡大戦略──オフプライス市場の成熟と都市回遊型SCへの進出
パルグループホールディングスと双日が共同で展開するオフプライスストア「LOCUST(ローカスト)」が、11月にかけて全国4店舗を新規開業する。出店先は吉祥寺マルイ(東京都)、大宮マルイ(埼玉県)、COCOSA熊本(熊本県)、静岡モディ(静岡県)であり、いずれも駅前・都心型の商業施設を舞台に、地方中核都市から首都圏主要商圏までをカバーする構成となっている。
LOCUSTは、2021年にパルと双日が共同で設立した合弁会社による業態である。資本構成はパル51%、双日49%。パルが持つブランド流通の知見と、双日のグローバルな仕入れ・在庫流通ネットワークを掛け合わせることで、国内外ブランドの余剰在庫を再循環させるサステナブルなリテールモデルとして誕生した。現在は全国で約40店舗を展開しており、2025年10月にはパルの自社EC「PAL CLOSET」内にLOCUST公式通販を開設。リアル店舗とオンラインの両輪で在庫の消化スピードを高める体制が整っている。
オフプライス業態は、いわゆるアウトレットモールとは異なり、ブランドやメーカーが抱える余剰在庫やシーズンオフ商品などをセレクトバイヤーが仕入れ、常時割引価格で販売する点に特徴がある。アウトレットが「自社在庫の直販」であるのに対し、オフプライスは「多ブランドの新品在庫の再流通」を軸とする。日常的な購買頻度の高い駅前・商店街立地と相性が良く、都市生活者の日常動線に自然に入り込むフォーマットとして注目が集まっている。
パルグループHDは、3COINSなどのファスト雑貨業態に加え、このLOCUSTを通じて“循環型リテール”を事業ポートフォリオに組み込んだ。ブランド横断での在庫再流通を実現する仕組みは、衣料品廃棄削減という社会的課題に対応しつつ、顧客には“宝探し”のような購買体験を提供する。価格は最大90%OFFとしながらも、取り扱うのはすべて新品商品。安価なアイテムからハイブランドまで、アパレル、雑貨、コスメ、家電と幅広い構成で、店舗ごとに異なる仕入れと陳列が特徴である。
今回の4店舗はいずれも、都市中心部での常設展開という共通点を持つ。吉祥寺マルイでは約86坪の売場で男女アパレルと雑貨を展開し、カルチャー性の強いエリア特性に合わせたセレクトを行う。大宮マルイ店は約30坪とコンパクトながら、乗降客数の多いターミナル立地を活かし高回転型のMDを志向する。COCOSA熊本店はアーケード商店街直結の60坪フロア、静岡モディ店は駅前1階の45坪区画で、いずれも都心商業施設における“日常使いのオフプライス”を体現する試みだ。
ワールドの「&Bridge」やゲオホールディングスの「Luck Rack」など、オフプライス市場は近年活況を呈している。中でもLOCUSTは、ファッション専門店グループとしてのパルと総合商社・双日の協業により、仕入れの厚みと販売網の両立を可能にした点が強みである。既存39店舗に加え、首都圏と地方主要都市を結ぶ4店の開業によって、全国規模の循環型リテールネットワークをさらに広げる段階に入った。以下、株式会社パルグループホールディングスのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
※LOCUSTピエリ守山店(滋賀県) 外観
『LOCUST COCOSA熊本店』概要
□オープン日:2025年11月14日(金)
□住所:熊本県熊本市中央区下通1丁目3ー8 NSビル3階
□営業時間:11:00-20:00
□売場坪数:約60坪
□取扱商品:レディース・メンズアパレル『LOCUST吉祥寺マルイ店』概要
□オープン日:2025年11月7日(金)
□住所:東京都武蔵野市吉祥寺南1丁目7-1吉祥寺マルイ4階
□営業時間:10:30-20:00
□売場坪数:約86坪
□取扱商品:レディース・メンズアパレル『LOCUST COCOSA熊本店』概要
□オープン日:2025年11月14日(金)
□住所:熊本県熊本市中央区下通1丁目3ー8 NSビル3階
□営業時間:11:00-20:00
□売場坪数:約60坪
□取扱商品:レディース・メンズアパレル『LOCUST大宮マルイ店』概要
□オープン日:2025年11月3日(月祝)
□住所:埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-3大宮マルイ3階
□営業時間:10:30-20:00
□売場坪数:約30坪
□取扱商品:レディースアパレル




