北陸アウトレットに“出汁”の新風──「鯛塩そば・鯛茶漬け 灯花」、小矢部で本格進出
“見て美しい、食べて美味しい”というコンセプトで知られるラーメン専門店「鯛塩そば 灯花」が、2025年7月18日、三井アウトレットパーク 北陸小矢部のフードコートに新店を構える。今回の出店は北陸エリアでは初の店舗となり、同施設におけるラーメン業態のラインナップにおいても新たな軸を打ち立てる動きといえる。
「鯛塩そば 灯花」は、東京都新宿区に本店を構える株式会社グッドヌードルイノベーションが展開するラーメンブランドで、真鯛を中心とした“出汁”に特化した塩ラーメンを主力商品としている。水と真鯛の中骨のみを用いて丁寧に炊き上げた黄金色のスープと、それに合わせて独自に開発されたストレート細麺の組み合わせは、ビジュアルの美しさと味の奥行きに定評がある。食べログ百名店に選出されるほか、ラーメン特集での受賞歴も多数。都市圏を中心に支持を集める“塩系”ラーメンの代表格である。
北陸での出店地となる三井アウトレットパーク 北陸小矢部は、北陸三県および新潟・長野といった広域からの来訪者を見込む商業施設。2015年の開業以来、地元産品との融合を意識した飲食テナント構成が特徴であり、観光拠点としての側面も強い。なかでもフードコートは、地元色の強い丼・そば業態が中心だったが、今回「鯛塩そば 灯花」が加わることで、都市型ラーメンの新しい選択肢が誕生することになる。
ブランドの持つ価値の源泉は“素材”にある。主に宇和島産の真鯛を使い、水以外の余分な材料を加えずに炊き出した出汁は、雑味を排しながらも豊かな魚介の旨味を宿す。また、同ブランドのもうひとつの看板メニューである「鯛茶漬け」は、ラーメンとはまた異なる角度から真鯛の滋味を引き出し、食後の満足感を高めている。いずれのメニューも、日本庭園のような趣ある盛り付けで知られ、味覚と視覚の両面から食体験を提供する点が他店との大きな差別化ポイントとなっている。
アウトレット施設における飲食店舗は、回遊性や短時間滞在といった特性を意識しながらも、リピート利用や“発見”につながる体験の提供が求められる。灯花のような「専門性のある高品質ラーメン」は、幅広い年齢層に訴求できることに加え、観光需要と地元客の双方にアプローチ可能なポテンシャルを備える。実際、同ブランドは過去にもイオンモールや福岡空港、ららぽーとといった大型商業施設内での出店を積極化しており、複数ブランドを使い分けながら地域に合わせた戦略を展開している。
今回の出店によって、北陸のラーメン市場にも“塩×出汁”という新たなカテゴリーの提案がなされる。濃口醤油ベースの「富山ブラック」や、金沢の老舗系中華そばとは一線を画す方向性で、素材志向や軽やかさを求める層に支持される可能性は高い。特にインバウンド需要の戻りとともに、味のストーリー性や和の美意識がより重要視されるなかで、灯花の打ち出す“食体験”はフードコートという枠組みを超えた価値提供につながる。
北陸初進出により、灯花が地域でどのような受け入れを得ていくか。商業施設内での専門ラーメン業態の導入事例として、今後の展開に注目したい。株式会社グッドヌードルイノベーションのプレスリリースから画像を引用。