全国23店舗に拡大する無人古着屋「SELFURUGI」 地方商業施設での可能性を探る
全国で23店舗を展開する無人古着屋「SELFURUGI」が、フランチャイズを軸に急速に拡大している。運営元の株式会社AVENDは、アメリカンカジュアル古着を中心にした無人運営モデルを武器に、毎月2店舗ペースでの出店を進めており、2026年末までに50店舗体制を目標に掲げている。特に地方都市や観光地での出店余地を見込み、商業施設との連動による新しい市場開拓を視野に入れている点が注目される。
SELFURUGIは、最新の無人決済システムと防犯対策を導入し、スタッフ常駐を必要としない業態として成立している。什器やデザインを統一することで初期投資を抑え、在庫は本部が一括管理して店舗へ供給する仕組みを整備。開業希望者にとっては低投資かつ省人型の運営が可能であり、商業施設側にとっては採用難や人件費増加という従来の課題を回避しながら区画を埋められるメリットがある。
地方商業施設においても、この業態は大きな可能性を持つ。郊外型モールやロードサイド施設では、慢性的な人材不足がテナント運営の大きな障壁となってきた。SELFURUGIは無人運営を前提としているため、人件費や教育コストが不要で、施設全体の運営負担を軽減できる。さらに、小規模区画にも対応できるため、動線の弱いフロアや遊休スペースの収益化にも寄与する。
また、古着はZ世代を中心とする若年層の関心が高く、商業施設における新たな来館動機となりうる。従来のリユースショップは大型で有人型の展開が中心だったが、SELFURUGIはセルフ体験やサステナブル消費といった価値観と親和性が高い。特に観光地型の商業施設においては、旅行者がその土地で古着を掘り出す体験を提供できる点が差別化要素となる。
一方で、商品特性上、在庫の鮮度や回転率をいかに維持するかが課題となる。全国一括での仕入れ体制を整えているとはいえ、消費者に「新しい発見」を提供し続けられるかが定着の鍵を握る。加えて、施設のテナント構成との整合性も重要であり、日常利用型テナントや飲食とどのように組み合わせるかによって集客効果が変わってくる。
SELFURUGIの拡大は、地方商業施設にとって「低リスクで導入できる新業態」としての意味合いが大きい。人材不足解消、若年層の集客、遊休区画活用といった課題解決を同時に実現する可能性を秘めており、今後の展開は施設のリーシング戦略に新たな選択肢を与えることになるだろう。以下、株式会社AVENDのプレスリリースから画像を引用。