代官山アドレスの食品核が刷新 「ピーコック」から「Food Style」へ、都心立地で進むイオン食品SM再編の実装
イオンフードスタイルは4月17日、渋谷区代官山町の「代官山アドレス・ディセ」1階に「フードスタイル代官山店」をオープンする。場所は東急東横線・代官山駅直結の複合施設内で、2005年11月に開業した「ピーコックストア代官山店」を刷新するかたちだ。営業時間は10時から22時、売場面積は約263坪。約20年にわたり地域の食品需要を担ってきた既存店を、新たな業態へ切り替える動きとなる。
今回のポイントは、都心部の食品スーパー1店舗の改装にとどまらない点にある。イオンフードスタイルはリリース内で、「Food Style」を単なる新しい屋号ではなく、「昨日にはなかった、新しい価値を持つ店舗へ転換すること」に対する企業としての決意表明と位置づけている。さらに、新店舗をPOC(概念実証)の場とし、商品開発やプロモーション、売場づくりの成果を既存店へ水平展開していく方針も示した。つまり代官山店は、首都圏の既存SMをどう再編集していくかを占う実装店という意味合いを持つ。
代官山という立地を考えると、この転換には施設側にとっても意味がある。代官山アドレスは、旧同潤会代官山アパート跡地に整備された、集合住宅、商業ゾーン「ディセ」、渋谷区代官山スポーツプラザなどで構成される都市型複合施設であり、駅前広場を含めて代官山の玄関口機能を担う拠点でもある。ディセ自体も「代官山らしいライフスタイルを彩る店舗が集まった“ライフスタイル・ギャラリー”」と位置づけられている。こうした施設の1階に入る食品スーパーは、単なる物販テナントではなく、日常来館を支える生活インフラであり、館全体の回遊と来館頻度を下支えする核でもある。
その食品核を「ピーコック」のまま維持するのではなく、「鮮度・活気・楽しさ・安さ」を掲げる価値提案型SMへ切り替える判断は、代官山の生活者像をかなり意識したものとみてよい。リリースでは、周辺に住む30~40代ファミリー層や共働き世帯を主要客層に想定し、新鮮でおいしく、手軽な商品を強化するとしている。都心居住地では、価格だけではなく、短時間で満足度の高い買い物ができること、夕食やランチに直結する即食・簡便商品があること、そして少し気分が上がる発見があることが支持の条件になる。今回の刷新は、そうした都市生活者向けの食品SM像を正面から取りにいく改装といえる。
実際、売場づくりの内容もその方向をよく示している。豊洲市場から届く鮮魚を海鮮丼やお造りで提案するほか、近隣の人気豚肉レストラン「代官山ハイライフポークテーブル」で提供する「ハイライフポーク」を、シェフ考案の焼き方情報とともに販売。さらにランチ需要向けに店内製造のパスタやバーガー、自家製プリン、和スイーツ、フルーツタルト、手包みおはぎなども展開する。生鮮、惣菜、ベーカリー、スイーツを横断して、“日常の食事を便利にする店”と“食の楽しさを感じさせる店”を両立させようとしている構成だ。
ここで重要なのは、代官山店が郊外型食品スーパーの延長ではなく、都心感度立地向けに再設計されたSMとして見えることだ。代官山はファッションやカフェの街として語られやすいが、代官山アドレスのような駅直結複合施設では、居住者や周辺就業者の生活需要を取り込めるかが館運営の安定性を左右する。その意味で、食品スーパーの更新は地味な話ではなく、施設の基礎集客を組み替える話である。今回のリニューアルは、感度の高い街にふさわしい編集性と、毎日使える実用性の両立を食品売場でどう成立させるかという挑戦でもある。これはリリースに書かれた事実を踏まえた解釈だが、商業施設ニュースとして見るなら、そこにこそ今回の価値がある。
イオングループの食品SM再編の文脈で見ても、今回の出店は示唆が大きい。新屋号の拡大は、既存店の看板変更ではなく、首都圏食品スーパーの役割そのものを再定義しようとする動きとして受け止めるべきだろう。代官山のような立地でこのモデルが定着すれば、今後は他の都心店でも同様の転換が進む可能性がある。フードスタイル代官山店は、新業態の2号店であると同時に、イオングループが都市型食品スーパーをどう進化させるのかを測る試金石になりそうだ。以下、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
店 名 フードスタイル代官山店
開 店 日 2026年4月17日(金)10時
所 在 地 東京都渋谷区代官山町17-6代官山アドレスディセ1階
営業時間 10:00~22:00
売場面積 約263坪(うち直営売場 約254坪)






