五反田発「それがし」、ニュウマン高輪に旗艦店──ローカルブランドが大型商業施設で担う新たな役割
五反田で生まれた和食・居酒屋ブランド「それがし」が、ニュウマン高輪LUFTBAUMの28階に新業態「高輪それがし」をオープンする。これまで夜の居酒屋として支持を集めてきた同ブランドが、初めて昼営業を導入し、ランチから甘味、昼飲み、夜景を楽しむディナーまでを通しで提供する“オールデイダイニング”へと進化する。
2011年に五反田で創業した「酒場それがし」は、純米酒と手仕事料理を軸に、大人が落ち着いて集える居酒屋として支持を広げ、恵比寿・目黒へと展開してきた。いずれも路面の小規模店舗で、予約中心の隠れ家としての存在感を確立してきた点が特徴である。今回の新店は、ブランドにとって初めての施設内出店であり、しかも駅直結の大規模再開発エリアに立地する点で大きな意味を持つ。
ニュウマン高輪は、山手線の新駅・高輪ゲートウェイ駅直結の大型商業施設として2025年9月に開業する。LUFTBAUMの28階は眺望を活かした高層ダイニングゾーンに設計されており、湾岸エリアの景観を背景に食事を楽しむ場として位置づけられる。高層階からの夜景や開放的な昼の光景を武器に、施設全体として「ここでしか体験できない飲食」を訴求していく中、「それがし」は和食と居酒屋の両面を担う役割を期待されている。
同じフロアにはオイスターを主力にする「Wharf」など眺望系の飲食店も並び、周辺には品川プリンスホテルの「TABLE 9 TOKYO」など競合する夜景ダイニングが存在する。そうした中で「それがし」は、炭火焼や鮮魚に加えて昼の御膳、和のアフタヌーンティー、昼飲みといった多様な時間帯需要に対応する点で差別化を図る。個室やボックス席を備え、接待から家族利用まで幅広い層に応える空間設計も施設全体の魅力強化につながる。
この出店は、ローカルで育まれたブランドが大型商業施設に迎え入れられる典型例といえる。商業施設側にとっては、全国チェーン一辺倒ではなく、地域で支持を得たブランドを組み込むことで独自性を打ち出せる。一方で、地元密着で展開してきた店舗にとっては、ローカルの個性や実績が評価され、旗艦店としてステージを広げられる希望の事例ともなる。特に「それがし」のように、日常使いの居酒屋文化を丁寧な手仕事と誠実な料理で磨き上げてきたブランドが、高層階の眺望と融合して新しい“日常の和食体験”を提案する姿は、今後の商業施設におけるローカルブランド活用のモデルケースとなるだろう。
ニュウマン高輪の開業は、地元のファミリー層やオフィスワーカー、ホテル宿泊者、観光客といった多様な層を呼び込むと見込まれている。そうした環境下で「高輪それがし」が担うのは、いつ訪れても“ちゃんとおいしい”和食を提供し、昼夜を問わず立ち寄れる安心感を持つ拠点としての役割である。ローカル発ブランドが、商業施設の時間軸を豊かにする重要な存在として定着するか、注目が集まる。以下、株式会社JOのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【「高輪それがし」店舗概要】
・店名:高輪それがし
・オープン日:2025年9月12日(金)午前11:00
・住所:〒108-0074 東京都港区高輪2丁目21-1 ニュウマン高輪 LUFTBAUM 28F
・電話:03-6450-4792
・営業時間:11:00〜23:00(L.O.22:30)
・定休日:なし(施設に準ずる)
・座席数:約70席(個室席30席(全6部屋・各4〜8名)・ボックス24席・カウンター16席)
・アクセス:JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」直結/都営浅草線・京急線「泉岳寺駅」徒歩5分