丸の内再編集の象徴──新丸ビル4階がリニューアルで見せる“都市の過ごし方”の新提案
東京駅丸の内口に位置する新丸ビルがこの夏、大規模なリニューアルを経て、再び注目を集めている。なかでも刷新された4階フロアは、8店舗の新規出店と6店舗のリニューアルにより、全24店舗が揃う“ライフスタイル提案型”フロアとして再構築された。THE NORTH FACEやDESCENTEといった高感度なスポーツブランドの直営店に加え、北欧フィンランドの名建築家アルヴァ・アアルトの名を冠した「Cafe Aalto」が東京初進出を果たすなど、新たな文化的磁力を備えたゾーンとなっている。
丸の内エリアは2000年代初頭に三菱地所主導で一気に再開発が進み、その後は安定的な運営フェーズに移行したが、近年は再び施設の再編集が活発化している。2020年の丸の内テラス、丸の内ブリックスクエアのテナント刷新、そして今回の新丸ビル4階の大幅改装は、その流れの延長線上にある。かつては八重洲・日本橋側の大型開発ラッシュが脚光を浴びたが、それが一段落しつつある今、丸の内では既存のストックを活かした質的な刷新が進行中だ。
今回の改装では共用部も大きく手を加え、開業当時の“上質感”を残しながら、“先進性”を意識した内装に一新。明るく柔らかな照明やマテリアルの導入により、フロア全体がリラックス感のある都市空間として再定義されている。単なる物販機能ではなく、「過ごし方」そのものを提案する場としての構造を強めており、買い物目的以外の来訪にも対応した構成が見て取れる。
商業施設の戦いが「再開発」から「再編集」へと軸足を移す中で、今回の新丸ビル4階のリニューアルは、都心型施設の方向性を示すひとつのモデルケースとも言える。例えば、アート複合施設スパイラル(青山)によるギャラリー兼ショップ「Spiral Garden」の出店は、都心部の生活者に向けた文化性と発見性を強化する象徴的な一手だろう。
さらに、7月1日から8月31日まではフロア各店にてリニューアル記念の限定キャンペーンを展開。共用部を回遊しながらLOVOTを探す「LOVOTラリー」や、丸の内ポイントアプリを活用したクーポン施策など、従来からのオフィスワーカーに加え、休日の観光やファミリー層も視野に入れた企画が並ぶ。
八重洲・日本橋エリアが新規供給による量的拡大を推し進めた10年代後半から20年代前半。その間に蓄積した“質の商業空間”を持つ丸の内では、今後も既存ストックの最適化というかたちで、新たな展開が続く可能性が高い。都市の中心における商業の新たな局面──それは過ごし方を問う空間づくりの挑戦であり、新丸ビル4階リニューアルはその先駆けとなっている。以下、三菱地所プロパティマネジメント株式会社のプレスリリースから画像を引用。