中国における新たな文化発信拠点、TSUTAYA BOOKSTOREが江蘇省無錫市に進出
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)と子会社の蔦屋投資(上海)有限公司は、中国江蘇省無錫市に「TSUTAYA BOOKSTORE 無錫周新里店」をオープンした。この出店は、CCCが掲げる「ライフスタイル提案型書店」の概念を中国市場に広げる重要な一歩となる。
無錫市は100年以上の歴史を持つ工業都市であり、日系企業の進出も多い。新店舗が位置する「周新里」エリアは、無錫市経済開発区の中心部に位置し、「The Landmark of City Growing」をコンセプトとした都市再生プロジェクトの一環として開発が進められている。地下鉄4号線「周新苑駅」から徒歩5分という好立地にあり、歴史的要素を残しつつモダンな建築を取り入れた街づくりが特徴だ。
TSUTAYA BOOKSTORE 無錫周新里店は、この地域性を活かしたデザインを採用している。店舗は江南水郷の伝統的な緑の瓦と白壁を取り入れながら、現代的な造形と融合させることで、歴史と現代が共存する独特の空間を創出している。また、地元の原材料や無錫の特産品である紫砂を活用した内装など、地域文化への敬意を表しつつ、新しい価値観を提示する試みが随所に見られる。
店舗のコンセプトは「Third Place of City」。自宅や職場とは異なる、もうひとつの居場所として機能することを目指している。1階には文具雑貨売り場とカフェを設置。カフェエリアは店内70席、テラス72席の計142席を用意し、中国本土のTSUTAYA BOOKSTOREでは最大規模となる。これにより、来店客が長時間滞在し、くつろぎながら読書や作業を楽しめる環境を提供している。
商品構成においても、従来の書店の枠を超えた展開が特徴的だ。生活を彩る多様な雑貨類はもちろん、日本の特撮コンテンツやアニメイラストレーターの作品集など、日本のポップカルチャーを広く紹介している。これは、中国市場における日本文化への関心の高さに応えるとともに、TSUTAYAならではの文化発信力を示す取り組みと言える。
2階は「本の森」と呼ばれる開放的な空間で、約3万冊の書籍を展開。文学やアート、ビジネス関連書など、幅広いジャンルの本を取り揃え、来店客の知的好奇心を刺激する。また、親子で楽しめるキッズエリアも設置され、年齢別に分類された児童書や知育玩具コーナーなど、次世代の読者育成にも力を入れている。
この出店は、TSUTAYAのグローバル展開戦略において重要な意味を持つ。日本国内では既存イメージの刷新が難しい面もあるが、海外市場では新鮮なブランドとして受け入れられる可能性が高い。特に、急速な経済成長と文化的な変革を遂げつつある中国市場において、日本発のライフスタイル提案型書店の概念は新たな価値を提供する可能性を秘めている。
TSUTAYA BOOKSTORE 無錫周新里店の開業は、単なる海外進出にとどまらず、地域の文化的コンテキストを理解し、それを現代的な解釈で再構築するTSUTAYAの姿勢を示すものだ。今後、この店舗が無錫市民の日常生活にどのように溶け込み、どのような文化的影響を与えていくのか、注目される。以下、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【TSUTAYA BOOKSTORE 無錫周新里店 概要】
■所在地 :無錫経済開発区太湖街道立信大道51号周新里4号楼
■店休日 :なし ※予告なく変更になる場合がございます。
■取扱商品:書籍・雑誌(日文書、洋書、中文書)、雑貨・文具、等
■店舗面積:1324㎡
■営業時間:10:00~22:00