三井不動産株式会社が新規事業を創造
社内起業が各業界の大手企業で数多く立ち上がってきています。この背景としては社内人材の能力を最大限活用し、社内の創造力やスキルを引き出すための手段として社内起業を推奨し社内で起業コンテストを行っている会社も増加していることやリスクを分散させることができ、新しい市場や技術に柔軟に対応できるようにしていることが挙げられます。もっともコロナをはじめとする社会・経済状況の変化や競争の激化により、企業が新しいビジネスモデルやイノベーションを求めていることも挙げられます。
一方で社内起業によるリスクも存在しています。例えば、内起業が失敗した場合、企業全体に悪影響を及ぼす可能性があること。社内起業家が主要業務から離れることで、業務の効率が低下する恐れがあること。成功した社内起業が独立する際に、企業との利益相反が生じることがあることなどです。とは言えども、現在さまざまな社内起業が生まれ、多くの大企業で社内起業が求められている状況に変わりはありません。元々社内起業だったものが独立して成功していった事例は多くあります。中でも皆さんがご存知の企業も実は社内起業だったりします。
例えば大日本インキ化学(現在のDIC)の社内起業としてスポーツクラブルネサンスは創業しましたし、今や多くの学習塾が活用しているスタディサプリはリクルートホールディングスの社内コンペ「Ring」によって生まれた事業だったり、小売で言えば合同会社西友で作られたプライベートブランドが今の無印良品の原型です。商業施設の業界でも社内起業のトレンドはあります。東急株式会社がスタートした機能特化型個室シェアサービス「roobby」などが記憶にあたらしいところですが、今回は業界大手の三井不動産株式会社が新規事業をスタート。食材調達から調理人の確保、商品の製造代行までを担う食のプラットフォーム 「mitaseru(ミタセル)」をスタートするとのこと。
三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」からスタートしたこの事業は有名飲食店の料理をお届けする厳選お取り寄せグルメプラットフォーム事業。専用のキッチンで、お店と同じレシピ・味にこだわりながら、専門シェフが手作りで調理、調理後すぐに最新の急速凍結技術を用いることで、鮮度をそのまま保存可能で参加飲食店は、知る人ぞ知る名店から、予約困難店、ミシュランガイド掲載店など多岐にわたるとのこと。有名飲食店は店舗ブランドとレシピそして商品開発支援を提供することで三井不動産からのれん代を得る。三井不動産は食材調達、調理人材確保、調理代行、冷凍加工、販売チャネルを構築し、消費者に対して商品を届けて商品代金を得るというモデル。
消費者はこのサービスを用いることで有名店のメニューが気軽に手に入るメリットや人気メニューも、品切れとなることはなく、お取り寄せ可能とのこと。食材の買い出しや調理の手間、後片付けなど食事における家事の時短を実現にも寄与することができるとのこと。冷凍倉庫、物流などこれまでの取引先や自社のリソースをうまく使うことが可能なビジネスモデルのようにも思われる。最大大手と言っても遜色がない三井不動産株式会社でさえも新たな価値創造に取り組むこの時代、御社は新たな価値創造に取り組めているであろうか?私自身も考えさせられたニュースであった。以下、三井不動産株式会社のプレスリリースから画像を引用。