ミズノ、都内4店舗同時開業 純スポーツブランドからライフスタイル市場へ本格進出
ミズノが9月に都内で直営店「ミズノショップ」を4店舗同時に開業する。池袋PARCO、ダイバーシティ東京 プラザ、ニュウマン高輪、渋谷PARCOと、いずれも高集客力を持つ都市型商業施設を舞台に選んだ。商品構成はスポーツスタイルシューズを中心に一部ライフスタイル品を加え、ダイバーシティ東京では競技スポーツ品やジュニア向けも展開する。ターゲットは若年層や訪日外国人を軸としつつ、女性やファミリーにも訴求することで新たな顧客層の開拓を狙う。2026年3月期末までに4店舗合計で約6億円の売上目標を掲げ、2〜3年後には全国で50店舗規模の直営網構築を目指す。
今回の動きは、ミズノの直営店ビジネス強化策の象徴といえる。これまで同社は野球やバレー、ゴルフなど競技スポーツ中心の製品で支持を得てきたが、直営店舗の拡充によりブランド体験の強化と顧客データの直接取得を進める。国内スポーツ用品市場では人口減少や競技人口の頭打ちが課題となる一方、健康志向やライフスタイル領域への需要は拡大しており、各社がこの分野での存在感を競い合っている。
比較対象としてアシックスの動向が際立つ。アシックスはランニング市場で世界的な地位を築き、海外売上比率は約8割に達する。さらにオニツカタイガーをライフスタイルブランドとして独立展開し、プレミアム市場でも存在感を確立している。アシックスが早くからブランドポートフォリオを細分化し、スポーツとファッションを両立させてきたのに対し、ミズノはこれまで純粋なスポーツブランドとしての立場を堅持してきた。今回の直営店攻勢は、その方向性を修正し、ライフスタイル市場での地位を築く第一歩となる。
出店先の商業施設の観点から見ると、ターゲット層の特性を踏まえた配置が明確である。池袋PARCOと渋谷PARCOは若年層やカルチャー感度の高い層へのリーチ、ダイバーシティ東京は観光需要とファミリー層、ニュウマン高輪は高感度・高所得層を意識した布陣である。施設側にとっても、インバウンド需要を取り込みながらスポーツ×ライフスタイルのテナント価値を強化する格好のパートナーとなる。
国内スポーツブランドの直営戦略は、今後の競合関係を大きく変える可能性がある。アシックスが先行するブランド多角化とグローバル展開に対し、ミズノが直営店を足がかりにどこまで市場拡大に迫れるか。今回の都内4店舗オープンは、その試金石となる。 以下、ミズノ株式会社のプレスリリースから画像を引用。