ファストファッションのアカウンタビリティ
どんな事業にも事業活動に説明責任は伴う。なぜならばどのような事業でも何かしらの環境負荷を伴うからだ。大量生産大量消費型のビジネスモデルを展開する事業者であれば尚更説明責任は伴う。ファストファッションと呼ばれるビジネスモデルはSDGs的なアプローチに関心が高まる現代社会においては半ば悪のような取られ方をされることも少なくはない。大量に商品を安価で販売するためにはそれなりの経営努力が伴う。その経営努力が環境や人にダメージを与えてしまうことも多々あります。
ファストファッションの生産地、縫製現場は安価労働力を求めて生産地が変わっていきます。最近ではミャンマーやカンボジアなど東南アジアで作られることが多いのですが、その労働現場では過酷な労働環境に苛まされる若者たちがいます。田舎から工場勤務に来たものの、あまりの過酷さに仕事を辞めた若い人たちがどうにもならなくなって性産業に従事していくことなども多々あることが様々な国で報道されています。そういったスエットショップと呼ばれる過酷な工場はファストファッションの経営努力の結果として生み出される社会構造の歪みでもあります。
もう一方でファストファッションは大量生産大量消費型のビジネスモデルで相当量の資源を投入して商品を製造していきます。素材、エネルギー、輸送エネルギーなどその商品が生まれて廃棄されるまでの過程で相当量の環境負荷を与えてしまいます。ファストファッション側も自らが与える環境負荷の深刻度については深く理解をしていることから各社様々な行動をとり、環境負荷を与えないように努力を続けています。今回はH&Mの新店、H&M池袋で同社がサスティナブルな什器を投入するというニュースです。
H&Mは日本国内全店舗で古着の回収をお行っており、1袋古着を店舗に持ち込むと3,000円以上のお買い物のときに使える500円分のデジタルクーポンを提供しています。その回収した古着や店頭で不良在庫になった商品をつかって、木質繊維板と同等の強度を持つ建材としてつくりあげる循環型繊維リサイクルボードのPANECO®を使って店頭什器をつくりあげているとのこと。今回のH&M池袋店ではそのPANCO®を使用した什器を店舗の一部に使用するとのこと。このPANECO®のすごいところは、什器としての寿命が終わって廃棄するときもまた次の什器の素材として還元できる点。大量生産してもエネルギー循環できればチャラとはいいませんが、努力している姿勢は示すことができます。今回のH&M池袋ではそれ以外にもLED照明を積極的にとりいれ環境負荷を軽減するとのこと。
ファストファッションには説明責任が必ずつきまといます。これで終わりではなく、常に環境に、人にやさしいファストファッションであり続けてくれれば少しでも世の中は明るくなることだと思いますし、消費者の意識も変えることができるのではないかとおもいます。前述のスエットショップであっても消費者の意識が変われば状況も改善されるかもしれません。そのきっかけをあたえるのもファストファッションの役割なのではないかと思います。よりよいファストファッションが広がっていくことを期待しています。以下、H&Mのプレスリリースより画像を引用。