ハンズ、イトーヨーカドー撤退跡に出店 755㎡の小型フォーマットが映す「都市型大型店」からの脱却
株式会社ハンズは2026年3月18日、千葉県習志野市の「イオンモール津田沼 South」4階に新店をオープンする。店舗面積は約755㎡。ヘルス&ビューティおよびステーショナリーを主軸に構成したこの出店は、国内外通算98店舗目にあたる。
店舗が入居するイオンモール津田沼 Southは、2024年9月に約半世紀の営業を終えたイトーヨーカドー津田沼店の跡地(津田沼12番街ビル)を、京成電鉄とイオンリテールが資本業務提携の第一弾として改修・再開業させた施設だ。映画館・フードフロア・イベントホールを備えた8階建てで、10〜20代の若年層を「体験と発信の場」として取り込むことを掲げている。
この出店の文脈を読む際、ハンズ自身の構造転換を踏まえる必要がある。同社はかつて東急グループの一員として、渋谷・新宿・梅田などターミナル立地の大型旗艦店モデルで成長した。しかしECの台頭と都市部の高賃料が重なり、2020年3月期の営業利益率は0%台まで落ち込んだ。転機は2022年、カインズの完全子会社となったことだ。郊外・地方の「日常のくらし」に強いカインズのオペレーション知見を取り込み、在庫管理・人件費・購買体験を改善した結果、2025年2月期には32年ぶりの過去最高益を更新した。
その再建の過程で明確になってきた出店戦略が、250〜500坪(約825〜1,650㎡)規模の小型SC型フォーマットへの転換だ。商圏・立地特性に応じてサイズを使い分け、2030年には約140店舗体制を目指す。今回の津田沼店(約755㎡)はその戦略的な一駒である。
立地に目を向ければ、津田沼は競合が密集する難しいエリアだ。南船橋にはららぽーとTOKYO-BAY、海浜幕張にはイオンモール幕張新都心が控え、広域商圏をほぼ相互に食い合っている。旧来の大型旗艦店型ハンズがここに出店すれば集客の成算は立ちにくい。だが755㎡の小型フォーマットであれば話は変わる。広域集客ではなく、駅直結の近隣居住者・通勤者の「日常使い」に徹した構造であり、ヨーカドー閉店によって生じた生活雑貨・文具・コスメの買い場の空白を、SCの核テナントではなくニッチ埋め役として補完することを狙っている。
オープニングキャンペーンとしてカインズ(幕張店・船橋習志野店)とのコラボ施策を展開することも象徴的だ。親会社との連動によって近隣商圏の来店客を相互誘導し、小型フォーマット単体では埋めにくい集客力を補う構造を最初から組み込んでいる。
大型旗艦店で「探す楽しさ」を売りにしてきたハンズが、小型フォーマットで「地域の日常使い」に応えるという軸足の移動は、ブランドの稀薄化リスクも孕む。今後の展開において、小型店群でハンズらしさをいかに維持するかが問われることになる。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■ 店舗概要
店 名 : ハンズ イオンモール津田沼 South店
出 店 場 所 : 千葉県習志野市津田沼1-10-30 イオンモール津田沼 South 4階
交 通 : 京成松戸線「新津田沼駅」直結、 総武線「津田沼駅」より徒歩約4分
店 舗 面 積 : 約 755 平方メートル
主要カテゴリ: ヘルス&ビューティ、ステーショナリー、ハウスウエア、バッグ&トラベル、バラエティ他







