ニュウマン高輪の集大成「MIMURE」が3月28日開業 約20店舗・8,000㎡が問う、商業施設の次の形
ルミネが「高輪ゲートウェイシティ」に展開するニュウマン高輪の最終開業エリア「MIMURE(ミムレ)」が2026年3月28日に開業する。延床面積約8,000㎡に約20店舗という構成は、通常の商業施設の基準では著しく低密度だ。だがこの「少なさ」こそが、MIMUREの設計思想の核心にある。
高輪ゲートウェイシティはJR東日本が主導する都心最大級の複合開発で、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」を掲げる。その商業機能を担うニュウマン高輪は2025年9月にSouth・North(154店舗)とLUFTBAUM(11店舗)が開業し、MIMUREの開業でルミネ史上最大規模・約200店舗の全体像が完成する。MIMUREはニュウマン高輪の「3つの挑戦」——まだ見ぬ生活価値づくり、地球価値づくり、街づくり——の集大成として位置づけられた、コンセプトエリアだ。
MIMUREの構造的な特徴は、京都発の小川珈琲をクリエイティブディレクターに据え、施設全体の方向性・環境デザイン・提供価値を共創したことにある。小川珈琲が担う11のラボラトリーは施設の骨格であり、コーヒー・カカオのロースタリー、酵母から始めるベーカリー、ショコラトリーなど素材の仕込みから調理まで来館者が目にできるオープンファクトリー群として機能する。テナントが空間を借りる通常のリーシング構造ではなく、食の作り手が施設の設計そのものに関与するという構造は、商業施設の文法として異例だ。
その他のテナントも、単なる飲食出店とは異なる文脈で選ばれている。築地創業101年の玉寿司は「次の100年に向けた新たな取り組み」として、漁港・仲買人が店頭に立ち江戸前鮨の食べ方を伝える会を定期開催する。日本酒のcamoは200以上の蔵元とのパートナーシップを活かし、来館者が蔵元と対話できる機会を創出する。フォンスが手がける蕎麦・松原庵は鎌倉の食材と江戸以来の蕎麦屋酒文化を持ち込む。いずれも「産地や生産者との対話」という施設の設計思想を体現するための選択だ。
社会包摂の側面も組み込まれている。ダイアログ・イン・ザ・ダークは純度100%の暗闇の中での飲食体験を通じた対話の場を設ける。AGRIKOとルミネが共同運営するアクアポニックス循環型ファームでは、障がいを持つ人々が中心となって作物を育て、地域住民や子どもたちが立ち寄れる農業体験の拠点とする。さらに高輪周辺の学生・住民・企業が共に育てたホップで醸造する「オール高輪産」クラフトビールも小川珈琲のブリュワリーで提供される予定だ。
空間設計はSMALLCLONE佐々木一也氏が担当。「少なく、より豊かに」を原則に、余白を広く取り素材を最小限に抑えた。直径5mの岩を据えたアトリウム、室内に雨が降るような演出の植物しつらえ、季節と共に黄金色に変わるススキ野原のテラス、指揮者・原田慶太楼がディレクションする環境音楽——これらは集客装置ではなく、滞在の質を規定するための設計だ。
コンセプト商業施設は言葉だけが先行しがちで、実際に定常的な来館者コミュニティが育つかどうかは開業後の運営によって問われる。MIMUREが掲げる「100年先」は壮大だが、小川珈琲という実力のある食の作り手を軸に据え、産地・福祉・街づくりを食体験と接続した設計の緻密さは、従来の商業施設のテンプレートとは一線を画している。ルミネが高輪という立地で何を証明しようとしているか、その答えはこれから積み上げられる。以下、画像と店舗概要を引用。
■基本情報
<2025年9月12日開業>
・NEWoMan TAKANAWA South・North (ニュウマン高輪 サウス・ノース)
延床面積:約44,000㎡ 店舗数:154店舗
・NEWoMan TAKANAWA LUFTBAUM (ニュウマン高輪 ルフトバウム)
延床面積:約8,000㎡ 店舗数:11店舗
<2026年3月28日開業>
・NEWoMan TAKANAWA MIMURE(ニュウマン高輪 ミムレ)
延床面積:約8,000㎡ 店舗数:約20店舗
・名称:ニュウマン高輪(約60,000㎡、約180店舗)
・所在地:
THE LINKPILLAR 1 SOUTH(ザ リンクピラー ワン サウス)1~5F/港区高輪 2丁目21-2
THE LINKPILLAR 1 NORTH(ザ リンクピラー ワン ノース)1~5F・28~29F/港区高輪2丁目21-1
THE LINKPILLAR 2(ザ リンクピラー ツー)2~3F/港区高輪 2丁目22-1





