ニトリ、マレーシア12店舗目をCentral i-Cityに開設──ASEAN市場で加速する「生活提案型リテール」の拡大
ニトリホールディングスが海外展開を着実に広げている。2025年11月27日、マレーシア12店舗目となる「NITORI Central i-City店」が開業する。グループ全体で1044店舗目の出店となり、同社が掲げる国際展開の戦略がASEANで確度を増してきたことを示す一例である。
マレーシアは都市化と住宅供給が進み、家具・生活雑貨の購買力が高まる成長市場だ。首都圏シャーアラム周辺は新興住宅地が集中し、暮らしを整える商材へのニーズが強い。こうした背景の中で、今回の出店先であるCentral i-Cityは、ファッションから日用品、飲食までフルラインで揃える大型複合商業施設として機能しており、日常利用客が多いモールである。その中心に生活提案型テナントを誘致することで、施設全体としての回遊性を高めることができる。約350坪規模の店舗は、モール内で家具・インテリアを扱うフォーマットとして収まりが良く、日常の買い回り導線に家具を取り込む点で有効である。
同国では大型店を展開するIKEAの存在感が強い一方、ショッピングセンター内で幅広い生活提案を行う業態は限られている。ニトリは「必要なものが揃い、比較的手に取りやすい価格帯で提供される“暮らしの道具”」を充実させることで、郊外大型店とは異なる即時性を持つ選択肢を提供してきた。モール内立地はその強みと親和性が高く、日用品から家具までを一度の買い回りで完結させたい都市生活者層との相性が良い。マレーシアで店舗網を着実に広げてきた背景には、こうした市場構造とニトリの業態特性の一致がある。
海外展開全体を見ても、ニトリはASEAN地域を重点市場として位置づけ、出店ペースを維持している。人口構造や住宅事情が変化する中で、同社は企画力と供給力を活かし、海外でも生活価値を提示するポジションを築きつつある。「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する」という企業理念は、海外での積み上げによって徐々に具体性を増している。今回のCentral i-City店は、その流れを象徴する出店といえる。
一つの新店開業に留まらず、ASEANでの店舗網拡大は、各国のモールにおいて生活関連カテゴリーの強化と競争力向上につながっている。現地で暮らす人々の住環境が多様化する中、商業施設側にとっても、家具・生活雑貨を扱う安定したテナントの存在は重要性を増している。マレーシア12店舗目となる今回の出店は、同社がASEANにおいて“生活提案型リテール”の代表的存在としての存在感を高めていることを示す。
Central i-Cityという発展途上の商業エリアにおいて、ニトリの新店舗がどのような購買導線を生み、周辺住宅地と結び付いた日常利用型の需要を取り込むのか。今後の動向に注目が集まる。以下同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗概要】
・店名 :NITORI Central i-City店
(ニトリ セントラルアイシティてん)
・所在地 :LG-04 & 22, Central i-City Shopping Centre, Persiaran Multimedia, Seksyen 740000 Shah Alam, Selangor
・店舗面積:約350坪
・開店日 :2025年11月27日(木)オープン
・営業時間:10:00 – 22:00




