ココイチの派生業態「ココイチワールド」関西初出店 KITTE大阪に見る外食チェーンの業態分化
株式会社壱番屋は2026年1月7日、「海外ココイチの逆輸入」をコンセプトとする派生業態「CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA WORLD(ココイチワールド)」の3号店を、KITTE大阪にオープンする。関西エリアでは初の出店となる。
ココイチワールドは、同社が国内外で広く展開する「CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA」とは異なる位置づけで設計された業態である。2022年10月に東京・京橋エドグラン、2023年6月に名古屋JRゲートタワーへ出店しており、いずれも都市性・情報発信力の高い立地が選ばれてきた。今回のKITTE大阪店は3店舗目にあたり、全国的な多店舗展開ではなく、都市拠点に限定した業態配置が継続している点が特徴といえる。
本業態の軸となるのは、海外店舗で支持を集めてきたメニューや空間設計を、日本市場向けに再構成している点にある。海外で人気の高い多彩なトッピングのオムカレーをはじめ、ココイチワールド限定のメニューを展開し、内外装についても海外仕様を採用する。日常利用や回転効率を重視する標準型のCoCo壱番屋に対し、ココイチワールドは業態の個性や体験性を前面に出した構成となっている。
出店先となるKITTE大阪は、JR大阪駅直結という高い交通利便性を持ち、ビジネス客、広域からの来街者、インバウンドを含む多様な層が交錯する都市型商業施設である。飲食フロアにおいては、利便性や価格競争力だけでなく、施設全体の編集方針や世界観と整合する業態であるかどうかが重視される傾向が強い。こうした立地特性を踏まえると、全国一律型のチェーンフォーマットではなく、業態を切り分けた出店が選択されている点は、施設側のテナント構成方針とも合致している。
KITTE大阪店では、大阪という土地性を踏まえた限定メニューの提供も予定されているが、具体的な内容については現時点では公表されていない。取扱いメニューの詳細は後日発信される予定とされており、現段階では業態の方向性と出店そのものが主な情報となっている。
店舗規模は34席と比較的コンパクトである。これは大量集客や高回転を前提とした設計というよりも、限られた空間の中で業態の特徴を明確に打ち出す構成といえる。近年の都市型商業施設では、席数や面積の大きさよりも、施設全体の価値向上に寄与する業態であるかどうかが重視されるケースが増えており、本件もそうした流れの中に位置づけられる。
今回のココイチワールド関西初出店は、「関西初」「新店オープン」といった表層的な話題にとどまらず、全国チェーンが立地や施設特性に応じて業態を分化させる動きが定着しつつある現状を示す事例である。同一ブランドであっても、どのフォーマットをどの場所に配置するかが問われる局面は今後さらに増えるとみられ、ココイチワールドの展開は、都市型商業施設における外食テナントのあり方を考える上で一つの参考例となりそうだ。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗情報】
・店舗名:「CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA WORLD」 KITTE大阪店
・住 所:大阪府大阪市北区梅田三丁目2-2 KITTE大阪4階
・オープン日:2026年1月7日(水)
・営業時間:11:00 ~ 23:00(ラストオーダー22:30)
・席 数:34席





