グランルーフガーデンが誕生
私達がいつものように使っている駅に隣接している駅ビルの共用部と東京駅、渋谷駅、新宿駅、池袋駅、品川駅、上野駅のようなフラッグシップとなる駅に隣接している商業施設の決定的な違いはなんでしょうか?それはニーズの違いです。そのニーズの違いを受けてテナントミックスも大きく異なっていきます。そればかりか、共用部分の扱いも大きく異なってきます。
通常の駅の商業施設では、その共用部はより実用的な機能を果たします。これらの施設は地元住民や通勤者の日常的なニーズを満たすことが重要で、共用部は主に人々が効率よく移動できるように設計されます。しかし、こうした施設でも、より良い顧客体験を提供するために、休憩スペースや小さな緑のエリアを設けることが増えています。
一方でフラッグシップとなる駅の商業施設の共用部は、大量の乗客を処理し、豊富なショッピングや飲食体験を提供するだけでなく、良好な休憩スペースや緑の空間を提供することにより、高品質な体験を提供することが求められます。こうした空間の意匠は、通常、美しさと機能性を兼ね備え、ブランドイメージの強化と顧客満足度の向上に寄与します。特に、最近では人々が開放的で緑豊かな公園的空間で時間を過ごすことへの関心が高まっており、フラッグシップ駅の商業施設でも屋外の休憩スペースや緑のエリアを積極的に設けるトレンドが見られます。これらの空間は、都市の喧騒から一時的に逃れ、リラックスできる場所として、人々に非常に評価されています。
今回、東日本旅客鉄道株式会社では東京駅グランルーフ2階を「GRANROOF GARDEN」としてリニューアルオープン。緑あふれるサードプレイスとしての屋外空間を創出し、電源付きテーブルやカウンターを増設します。駅直結という好立地と、屋外デッキの開放感、先進性・先端性のある八重洲エリアの特徴を生かし、東京駅と八重洲のまちをつなぐ拠点としての役割を目指す。特徴としては234mにわたるペデストリアンデッキの長さを活かして多様な空間を整備し、駅・高速バス利用者、周辺のオフィスワーカー、住民、来街者等、誰でも快適に過ごせるパブリックスペースを創出します。エリア全体でフリーWi-Fiや電源コンセントを整備。約100種以上の関東圏在来の植物を取り入れ、東京の玄関口に相応しい緑豊かな空間を創出します。古来より自生する多様な緑や草花が見せる四季折々の豊かな表情を、五感を使って感じられる空間を作り上げる。15種類以上のベンチやカウンター、緑化プランターを組み合わせ、一部可動式とすることで様々なイベントにも対応した空間配置が可能となり、利用されるお客さまのニーズに応じて変化できるフレキシビリティある空間を提供。
最近のトレンドとして、公園のような共用部分を持つ商業施設が増えています。都市生活者にとって、都市の喧騒から一時的に逃れ、開放的で自然豊かな空間でリラックスできる場所は、非常に魅力的です。これらの空間は、人々が時間をゆっくりと過ごすことを可能にし、施設全体の魅力を高めます。これらの公園的共用部は、顧客の満足度を向上させるだけでなく、持続可能性と都市生活者の福祉にも貢献しています。今回のグランルーフガーデンの誕生はこれにまさに重なるなと感じさせられました。以下、東日本旅客鉄道株式会社のプレスリリースから画像と概要を引用。
工事概要
・事業主:東日本旅客鉄道株式会社
・ランドスケープデザイン監修:株式会社日建設計
・施工:株式会社小出製作所、株式会社ゴバイミドリ(Ⅰ期整備)
・竣工:Ⅰ期整備(北側エリア):2021年7月、Ⅱ期整備(デッキ全体):2023年7月