ガウ・キャピタル・パートナーズとペイシャンスキャピタルグループが「東急プラザ銀座」を取得
不動産プライベート・エクイティのガウ・キャピタル・パートナーズ(以下、ガウ・キャピタル)とペイシャンスキャピタルグループ(以下、PCG)は、東京・銀座5丁目に位置する商業施設「東急プラザ銀座」を共同で取得した。取得はガウ・キャピタルが運用するファンドおよび共同投資家の出資を通じて行われ、ガウ・キャピタルが91%、PCGが9%を保有する。
東急プラザ銀座は2016年に竣工し、銀座の中心部に位置する商業施設である。延床面積は約15,153坪(50,093平方メートル)に及び、銀座駅直結、JR有楽町駅からも徒歩圏内という好立地を誇る。周囲には高級ブランドの旗艦店や有名百貨店、高級ホテルが立ち並び、銀座の中でも特に価値の高いエリアに位置している。
本件の取得価格は約1,500億円超と報じられており、近年の都心部商業施設取引としては大規模な案件となった。売却元の東急不動産は、事業ポートフォリオの入れ替えを進める中で、資産効率化の一環として売却を決定したとみられる。
ガウ・キャピタルは、アジア太平洋地域を中心に不動産資産の価値向上戦略を展開しており、特に商業施設の再生に強みを持つ。PCGはシンガポールと東京に拠点を構える不動産投資会社で、日本国内のブランドや企業とのネットワークを活用した投資機会の発掘を強みとする。
東急プラザ銀座は、コロナ禍以降、一部テナントの撤退が相次ぎ、商業施設としての活気が低下していた。しかし、ガウ・キャピタルとPCGは、テナント構成の見直しやリニューアルを通じて、施設の価値向上を目指す方針を示している。特に、リース計画の見直しや新たなコンセプトの導入を通じて、銀座の新たなリテールハブとして再構築することを計画している。
銀座エリアの商業市場は、訪日観光客の増加や円安によるインバウンド需要の拡大を背景に、回復基調にある。松屋銀座や三越銀座、GINZA SIXなどの主要商業施設では売上が回復し、特に高級ブランドの売上が好調である。一方、東急プラザ銀座は近年、競争の激化やテナント構成の変化により、他の施設に比べて苦戦する場面も見られていた。
また、東京都の都市整備局が推進する「東京スカイコリドー(ハイライン)」計画も、東急プラザ銀座の価値向上に寄与するとみられる。同プロジェクトでは、隣接する東京高速道路(KK線)を緑豊かな歩行者空間へと転換し、2029年の部分開通を予定している。この再開発により、エリア全体の回遊性向上が期待され、東急プラザ銀座にも新たな集客効果をもたらす可能性がある。
近年、外資系ファンドによる日本国内の商業施設取得が相次いでいる。特にガウ・キャピタルのようなアジア太平洋地域に強みを持つ企業が、東京の一等地に位置する商業施設へ投資を進めている点は注目に値する。ガウ・キャピタルは、今回の取得を通じて、日本市場におけるプレゼンスをさらに高める意向を示しており、同社の日本での運用資産は6,550億円に達している。
東急プラザ銀座の取得は、ガウ・キャピタルとPCGによる日本市場への積極的な関与を象徴する事例であり、今後の運営方針に注目が集まる。リニューアルによるテナント誘致や施設の再生が成功すれば、銀座エリアの商業施設市場における競争力が一段と強化されることが期待される。以下ペイシャンスキャピタルグループの画像を引用。