カレーハウスCoCo壱番屋、環境配慮型モデル店舗を金沢にオープン
カレーチェーン業界において環境対策への取り組みが注目を集める中、株式会社壱番屋が新たな一手を打ち出した。同社は2024年10月7日、石川県金沢市に業態初となる環境配慮型店舗「カレーハウスCoCo壱番屋 金沢小坂店」を移転オープンした。この新店舗は、同社が掲げる「壱番屋長期ビジョン2030」の重点項目の一つである「環境にやさしい取り組み」を具現化したモデル店舗として位置付けられている。
新店舗の最大の特徴は、従来店舗と比較してCO2排出量を約60%削減する点だ。この大幅な削減を実現するため、同社は複数の環境技術を統合的に導入している。具体的には、太陽光発電システムの導入により店舗の電気使用量の約10%を賄う他、遮熱シートや複層ガラス、空調循環装置などを採用することで空調使用量の抑制を図っている。
さらに、店舗建築時のCO2排出量削減にも注力した。木造建築を採用し、外壁には国産木材の端材を原材料とした「オフセットサイディング」を使用することで、鉄骨造で新築した場合と比較して約29トンのCO2排出量削減を実現している。これは、建築業界でも注目を集めている木材活用の取り組みを飲食店舗に応用した先進的な事例といえる。
水資源の有効活用も見逃せない。節水型機器の導入により、年間の水使用量を移転前の店舗と比較して約10%削減する見込みだ。また、生ごみ処理機を導入することで、廃棄する生ごみをゼロにする取り組みも注目に値する。これらの施策は、環境負荷の低減だけでなく、長期的な運営コストの削減にもつながる可能性がある。
店舗のデザイン面でも環境への配慮が随所に見られる。内装は木目を基調としたデザインを採用し、木材の梁を生かすことで自然な雰囲気を演出している。テーブルや椅子にはFSC認証家具を使用するなど、調達面でも持続可能性を重視している。また、従業員の制服にもこだわりが見られ、タマネギの皮から抽出した成分をベースに植物の天然成分を配合した染料を使用している。
株式会社壱番屋は、この金沢小坂店での取り組みを今後の店舗展開にも活かしていく方針だ。特に、新築時のCO2削減効果が大きい木造建築と、継続的なCO2削減に寄与する太陽光発電については、条件の合う店舗への積極的な導入を予定している。その他の環境技術についても、導入効果を検証したうえで既存店や新店への展開を検討するとしている。
このような包括的な環境配慮型店舗の展開は、飲食業界全体の環境対策の底上げにつながる可能性がある。今後、他のチェーン店や個人経営の飲食店がどのようにこの動きに追随するか、業界関係者の注目が集まっている。株式会社壱番屋の取り組みは、持続可能な店舗運営のモデルケースとして、今後の飲食業界の方向性を示す重要な指標となるだろう。以下、株式会社壱番屋のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■店舗情報
店 舗:カレーハウスCoCo壱番屋 金沢小坂店
住 所:石川県金沢市小坂町北214-1
営業時間:11:00~23:30(ラストオーダー)
座席数:45 席
駐車場:19台