アパレル企業の向かう先
日本のアパレル企業で圧倒的なNO1といえば株式会社ファーストリテイリング。これに関しては誰も疑う余地が無いと思います。ユニクロと同じ戦略をとっても、誰も全面勝利はない。盤石な布陣でドミナントを抑えてあるし、世界展開も成功している大企業です。そのユニクロのポジショニングに要所要所で勝負しているのがベイシアグループの株式会社ワークマンのワークマンプラス。アウトドアブーム、フィットネスブームでワークマンの培った機能商品をファッションMDに寄せて展開することで低価格高品質商品のポジショニングに成功して今や人気のブランドとして成長していっていますが、フルラインでユニクロと勝負しているブランドではありません。
株式会社ファーストリテイリングのマネをしても、ユニクロを作れる時代ではなくなってきており、アパレル業界で生き残って成長していくためには全く違う路線での勝負が求められるようになっています。独特な展開で一定層のファンから抜群の人気なのが株式会社ベイクルーズ。ベイクルーズグループの特徴はファッションではない点。衣食住美という生活者を取り囲む生活環境全ての側面から価値を提供しようとしている点です。他のセレクトショップとは異なり、家具、雑貨はもとより飲食ブランドも複数展開しているだけではなく、フィットネス関連のブランドも2つ展開をしている総合生活産業の色が濃い企業。
同じ様に総合生活産業として数年前に舵を切ったのが株式会社アダストリア。2017年に株式会社ADASTRIA eat Creationsを立ち上げ、アダストリアのフードサービス事業の展開をおこなっている。現時点でブランドは3つ。パンのThe City Bakery、スムージーのjamba、中華料理のMs.Casablanca。中華以外は複数店舗の展開を既に行っている企業。それだけではなく2022年1月から公開買付をおこない、2月21日に株式会社ゼットンを特定子会社として迎えることになる。株式会社アダストリアはNiko and….の店舗内ですでに雑貨、家具の展開も成功しており同社のMDだけで数千坪の商業施設ができると言われるほど幅広いブランドMDを展開している企業だけに、今回の株式会社ゼットンの特定子会社化は衝撃的。ゼットンは2021年2月期の時点で直営店舗70、FC5店舗の合計75店舗を展開する企業。
今回の株式会社ゼットンの特定子会社化をうけ、総合生活産業としての株式会社アダストリアの今後の展開は今以上に幅広くなるであろうし、本当にショッピングモール「アダストリア」が実現する可能性を帯びてきている気がする。物件オーナーの各企業は有望な立地であれば館まるごと株式会社アダストリアにおまかせ!というのもありなのかもしれないと思わされたニュースでした。